核実験については、次のような動きを見せてきました。
第1回 2006年10月09日 人工地震の規模マグニチュード4.3 爆発力0.5~5キロトンと推定。
第2回 2009年05月25日 人工地震の規模マグニチュード4.7 爆発力4キロトンと推定。
第3回 2013年02月12日 人工地震の規模マグニチュード4.9 爆発力6~12.5キロトンと推定。強化型原爆の可能性あり。
第4回 2016年01月06日 人工地震の規模マグニチュード5.1 爆発力6~9キロトンと推定。北朝鮮は「水爆」と主張。
第5回 2016年09月09日 人工地震の規模マグニチュード5.3 爆発力10キロトンと推定。
爆発力については、様々な推定値が示されていますが、人工地震の規模に比例して少しずつ爆発力の推定値が大きくなっていることがわかります。
これは、開発がそれなりに進んでいることを示す傍証の側面もあるのです。
北朝鮮の目的から見るとき、メガトン級の大型核兵器は必要ありません。それこそ、10キロトンから100キロトンくらいの核弾頭を弾道ミサイルに搭載できればよいのです。最終的に米国東海岸を射程に収める大陸間弾道ミサイル(ICBM)を完成した場合でも、そのくらいの爆発力の核弾頭を1基のICBMに3~10発搭載したMIRV(個別誘導複数目標弾頭)化が実現すればよいのです。
その第一歩は、信頼性が高まり、実戦配備できる状態になった準中距離弾道ミサイルに小型化を実現した核弾頭を搭載することです。
そうなれば、少なくとも米国の最も重要な同盟国である日本を「人質」にして、米国に現在の休戦協定を平和協定に変更するよう要求できる可能性が生まれてくるかもしれません。
今回の核実験は、そのような歩みを進める北朝鮮が少なくとも準中距離弾道ミサイルに小型化された核弾頭を搭載しうる段階に到達したことを強調した側面があり、日米韓の北朝鮮封じ込めは新たな段階にさしかかったと受け止めるべきでしょう。
『NEWSを疑え!』より一部抜粋
著者/小川和久(軍事アナリスト)
地方新聞記者、週刊誌記者などを経て、日本初の軍事アナリストとして独立。国家安全保障に関する官邸機能強化会議議員、、内閣官房危機管理研究会主査などを歴任。一流ビジネスマンとして世界を相手に勝とうとすれば、メルマガが扱っている分野は外せない。
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