これはしてはいけない
次に、会談時に「これはしてはいけない」という注意点について。
1.TPP問題で、トランプさんに説教してしまう
安倍総理はTPP支持。トランプさんは、TPP反対。それで、安倍総理は、「TPPの意義」などを説教したい誘惑にかられるかもしれません。しかし、これはやめておいたほうがいいです。「安倍は、上から目線のイヤな奴!」と思われることでしょう。政策議論は、向こうから聞かれるまでするべきではありません。時事通信11月11日には、こうあります。
トランプ氏は環太平洋連携協定(TPP)離脱を掲げているが、世耕弘成経済産業相は「TPPを日米が主導してアジア太平洋に広げていくことは非常に重要な取り組みだと、トランプ氏をしっかり説得していくことが重要だ」と指摘。
「しっかり説得」しないで欲しいです。これ、向こうの立場に立ってみましょう。日本は、トランプさんが大統領に就任する前から、「公約を破りやがれ!」と説得するというのです。トランプさんからすれば、こんなうざったいことはなく、「日本は、俺が大統領になる前に、アメリカ国民を裏切れというのか!?」となるでしょう。
2.中国の悪口を言ってしまう
私はダイヤモンド・オンラインの記事に、こう書きました。
「私も日本国民も、米国が世界のリーダーで居続けることを望んでいます」と言おう。トランプは、きっと喜ぶだろう。
続いて、「しかし国際社会は、米国が世界のリーダーで居続けるとは思っていないようです。ほとんどの米国の同盟国が警告を無視して、中国主導のAIIBに参加したことからも、それは分かります。世界は、中国が世界のリーダーになると思っているみたいですね」と言う。
すると、トランプの負けず嫌いに火がつき、「どうすれば中国に勝てるだろうか?」と考えはじめることだろう。
これですが、中国の件については、初回から言うのは早すぎますね。中国に関して、どうもトランプさん自身も迷っているようです。ですから、日本が露骨に「反中」を煽ると逆効果です。もちろん聞かれたら、「尖閣問題」「領海、領空侵犯問題」などを話すのはよいでしょう。しかし、中国の悪口を言うのはやめましょう。
3.すぐに仕事の話をしてしまう
トランプさん、過去に「日本のビジネスマンはやってきて、How are you doing?とも言わずに金儲けの話をし始めた」というような話をしていました。運が悪かったというか。「いきなり本題」というのは、誰でも嫌なものです。そういえば、オバマさんは「仕事の話しかしない」ということで、はじめ安倍総理はびっくりしたそうです。
ポイントを整理しましょう。
- 尊敬を示すこと
- 「偉大なアメリカを取り戻す」という目標への支持を伝えること
- 「日米安保を平等にする努力を続けていく」意志を伝えること
してはいけないことは、
- TPP問題でトランプさんに説教してしまうこと
- 中国を批判してしまうこと
- すぐ本題に入ってしまうこと
というわけで、安倍総理は、是非トランプ次期大統領の親友になっていただきたいと思います。会談大成功を祈ります。
image by: 首相官邸
『ロシア政治経済ジャーナル』
著者/北野幸伯
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