タワーマンションは終わった。法改正で「不公平」にますます拍車

 

建物の評価額における所得税の按分は、建物の共有持分割合で負担すべきという考え方が当然出てきます。これまで、専有部分の面積が同じだったら、共有持ち分割合も同じでしたが、階によって税金の負担割合が変わるなら共有持ち分割合もそれに連動させるべきだという考え方です。2018年以降のタワーマンションは、税負担に連動して、広さだけでなく高さに比例した共有持分割合に設定されるようになるかもしれません。

さらに、共有持分割合は、マンションの意志決定における議決権割合の基礎になるものです。共有持分割合が高さに比例して大きな割合になるのであれば、議決権も上に行くほど多くを持つという考え方につながります。議決権の違いは、総会の度にいやでも確認させられるもので、差別意識や不公平感の元になってしまいます。

広さの違いも、あまり大きな差でなければ、1住戸1議決権と決めているマンションが多いので、高さによる違いも、10%ぐらいなら、同じでいいと考えることもできますが、もし、連動させず、1住戸1議決権とすると、自分たちは固定資産税を多く払っているのに総会における議決権が同じなのはおかしいと思う人が現れる可能性があります。もし、階によって大きく意見が分かれるような議案になったら、必ず、議決権の公平性が問われるでしょう。

では、管理費や修繕積立金の負担割合はどうなるでしょう。これまでは、専有部分の広さによる共用持分割合に連動して、費用の負担割合も決めるのが一般的でした。それを、高さによって共有持分割合が変わるなら、当然、それに合わせて費用負担もすべきという考え方が出るでしょう。

しかし、改正標準管理規約のコメントに、費用負担は、広さの割合だけで高さは加味しなくてもいいとあるのですから、これももめそうです。

これまで、住戸の広さの割合で権利や負担を決めるという区分所有において定着してきたルールを今回の税制改革は根本から崩すことにもなりかねない危ないものに思えます。

購入価格で差があっても、1つの建物を共有するのですから、そんなことはできるだけ表面化させずに、融合していこうとしてきたタワーマンション運営の苦労を無にしてしまうことになってしまいます。

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