今どきの若者を嘆くべからず。成熟が遅いのは「進化の証」だった

 

昔は15歳くらいで元服して大人だった。昔の人はしっかりしていた。それに比べて今の若者は…」。

こういうことがよくいわれますが、私はこれにも賛成できません。確かに中世の武家では15歳ころに元服していました。でも、その頃は、ある意味単純な世の中で、武士の子は武士になり、百姓の子は百姓になり、商人の子は商人になるのが当たり前でした。

「拙者は父上のような立派な武士になります」と言っていればいいわけで、何の迷いもありません。誰でも仕事に就けて大人になれたのです。

ところが、現代では自分が何になるべきか迷いに迷います。複雑な社会の中で非常に多くの選択肢があるからです。さらには、競争も厳しく思うようにはいきません。社会のあり方が違いすぎるのですから、一概に昔の人はしっかりしていたとはいえないのです。

さて、NHKスペシャル『寿命はどこまで延びるのか』(2015年1月4日放送)によると、これから30年後の2045年ごろになると、平均寿命は100歳になるということです。そのときは、2015年の頃を振り返りながら、「30年前の若者はもっとしっかりしていた」と言っていることでしょう。

このようなわけで、今の子どもや若者が未成熟で手がかかるといって嘆く必要はありません。一部だけ見て嘆くのではなく、ことの全体を見れば喜ばしいことなのです。

ですから、いたずらに嘆いているのではなく、子どもや若者に手をかけ愛情を注いであげましょう一人一人を本当に大切に育てていきましょう

それは、つまり一律の対応ではなくできるだけ個別の必要性に応じた過不足のない対応をしていくということです。文明の発達とはそういったことができるようになることだと思います。

初出『月刊サインズ・オブ・ザ・タイムズ(福音社)』2015年1月号

image by: Shutterstock

 

親力で決まる子供の将来
5年連続でメルマガ大賞の「教育・研究」部門賞を受賞!家庭教育メルマガの最高峰。教師生活23年の現場経験を生かし、効果抜群の勉強法、子育て、しつけ、家庭教育について具体的に提案。効果のある楽勉グッズもたくさん紹介。「『親力』で決まる!」(宝島社)シリーズは30万部のベストセラー。
<<登録はこちら>>

print
いま読まれてます

  • 今どきの若者を嘆くべからず。成熟が遅いのは「進化の証」だった
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け