今どきの若者を嘆くべからず。成熟が遅いのは「進化の証」だった

 

しかも、寿命も延びています。日本の平均寿命は、女性が約87歳で男性が約80歳です。人生50年といわれていた頃よりも30年も長くなっていて、約1.7倍の寿命になっています。ということは、成熟までの時間も1.7倍になるのが自然というものです。

例えば50センチのゴムひもを80センチに伸ばすとしたら、右側も真ん中も左側も同じように伸びます。真ん中だけたくさん伸ばそうと思ってもそうはいきません。人生も同じです。人生の最盛期である真ん中だけ伸ばすことはできないわけで、成長期も老年期も伸びるのです。

ところで、この最盛期が伸びるということはとてもすばらしいことです。例えば、一人の科学者が最先端で研究できる期間が10年延びれば、大きな成果が得られるはずです。科学の進歩は今まで以上に加速します。

芸術家や職人にしても同じです。それぞれの道をより深く極められるようになり、人類の宝物といえるような物をたくさん生み出してくれるはずです。

教師にしても同じです。たいていの場合若い頃は力が入りすぎて空回りし、20年、30年とやっているうちに余分な力が抜けてきて円熟の境地に達します。子どもたちを長い目で見られるようになり、懐の深い教師になります。

今までは、せっかくその境地に達したところですぐ退職となっていたのが、もう少し子どもたちと一緒に過ごせるようになります。これによって多くの子どもたちが救われます。

もちろん、仕事を続ける気力が保つのが大変とか、若者の雇用に影響が出るなどの問題も解決しなければなりませんが、基本的にはよいことだと思います。それに、最盛期が長ければ新しい仕事や生活にチャレンジすることもできます。なによりも、せっかく生まれてきたのですから、できるだけ長く元気に生きられるようになればありがたいことです。

あるいは、最近よく耳にする言葉に「50代の美魔女」などというものもあります。美魔女コンテストなるものもあるようで、みなさん大変美しいです。人生50年の時代だったら老婆と呼ばれていたであろう年代ですが…。

こういうよいことがあり、その一方で子どもや若者の未成熟というものもあるわけです。一方で美魔女が増えれば、もう一方で若者たちが未成熟になるのは当たり前です。これはコインの裏表であり、表だけもらっておくということはできないのです。

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