「豊かな社会」の悲惨な末路。なぜ機械化社会は格差を産んだのか?

 

2011年の Occupy Wall Street のムーブメントは、我々に気づかせてくれました。しかし、残念ながら、多くの人々は、あれを「少数派の意見」もしくは「敗者の意見」でしかないと軽視し、彼らの声に真剣に耳を傾け、一歩下がって「機械化社会のあり方」を真剣に議論することはありませんでした。機械化やグローバル化の流れには誰も逆らえないのだから、そんなムーブメントは一過性のものに終わり、彼らの活動によって社会が変わることなどない、と考えたのです。

確かに、1年も経つとムーブメントはおさまりましたが、その根底の原因である貧富の差は広がる一方で、敗者・弱者側にいる人たちの不満は、「マグマだまり」のように地底でエネルギーを貯めていたのです。

それが一気に噴出したのが、英国のEUからの離脱であり、トランプ大統領の誕生なのです。特にトランプ大統領は、彼らが、本来労働者の味方であるはずの民主党からも、小さな政府を目指す保守的な共和党からも見放されていることに目をつけ、あえて共和党から出馬し、過激な移民排除政策などを打ち出すことにより、大統領選に勝つことに成功しました。

トランプはこれまでの大統領とあまりに違うので、何をするのか予想しがたいところもありますが、トランプ大統領の誕生の背景が、第二次世界大戦前夜のナチスの台頭と似ているという人もいます。

いずれにせよ、「英国のEUからの離脱」と「トランプ大統領の誕生」という、誰もが予想しなかった「事象」が起こってしまった一番の理由は、機械化とグローバル化によって引き起こされた貧富の差だ、という点は否定できません。

つまり、世の中を便利にしようと働いている私たちエンジニアの仕事が、結果として、貧富の差を増大させ、世界を不安定にしている、という皮肉な結果になっているのです。

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