「豊かな社会」の悲惨な末路。なぜ機械化社会は格差を産んだのか?

 

さらに懸念すべきは、ようやく始まったばかりの「AI革命」です。このメルマガでも何回か触れましたが、ここ数年の「深層学習」を中心としたAIの進歩は目覚ましく、ここから10年ほどの間に、これまで人間にしか出来なかったサービス業の仕事が、AI によって置き換えられて行くようになります。

それも、ウェイターやレジ係などの最低賃金の仕事だけでなく、事務職、会計、アナリストなどのこれまで(最低賃金の人たちと比べて)優遇されてきた人たちの職まで奪うようになるのです。

これまでとは違って、サービス業の先に仕事はありません。つまり、今のままの社会構造のままで「AI革命」が進むと、さらに大量の失業者を生み出すのです。

そのためには、社会構造そのものを変え、無理に働かなくても生活に困らないようなシステム、これまであまり「飯のタネ」にはならなかった、ボランティアや創作活動を通じて生活の心配をせずに出来るようなシステムを作る必要があると考えています。

この件に関して、政治家でもない私が何ができるという話でもありませんが、まメルマガやブログを通して、この問題を分かりやすく説明して、多くの人たちに問題意識を持ってもらうことぐらいは出来るので、まずはそこから手をつけて行こうと考えています。

image by: Shutterstock.com

 

『週刊 Life is beautiful』より一部抜粋

著者/中島聡(ブロガー/起業家/ソフトウェア・エンジニア)
マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。IT業界から日本の原発問題まで、感情論を排した冷静な筆致で綴られるメルマガは必読。

≪無料サンプルはこちら≫

print
いま読まれてます

  • 「豊かな社会」の悲惨な末路。なぜ機械化社会は格差を産んだのか?
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け