革製品のクリーニングは業者によって当たり外れが大きいとされ、一般的には不安要素が強いもの。しかし、そんな不安を「技術の数値化」で解消し注目を集めている企業があります。今回の無料メルマガ『MBAが教える企業分析』では著者の青山烈士さんが、その名も「革水」という企業の戦略・戦術を詳しく分析しています。
顧客の不安を解消する
世界で初めて革を洗う技術を数値化することで注目されている企業を分析します。
● 革水(皮革クリーニング・メンテナンス)
戦略ショートストーリー
革製品のクリーニングで失敗したくない方をターゲットに「革への情熱」に支えられた「安心して任せられる」「キレイな仕上がり」という強みで差別化しています。
革製品のクリーニングへのさまざまな不安を解消するために、第三者機関協力のもと、世界で初めて革を洗う技術を数値化することで、顧客の支持を得ています。
■分析のポイント
顧客の不安を解消する
革製品をクリーニングに出すことをためらう方が多いようです。クリーニングに出して、風合いがなくなるといった経験をされた方はもちろんそうなると思いますが、自分は経験していなくても、周囲にそのような経験をされた方がいれば、やはり大事な革製品をクリーニングに出そうとは思えないでしょう。
「革水」のHPにも記載されていますが、
仮に10のお店があれば、10通りのクリーニング・メンテナンス方法がある
ということは、技術の水準やクリーニングの効果に差があるということでもあります。要するに、どの店に出しても同じ結果が得られるとは限らないということです。これは、出す側としては、不安ですよね。自分が依頼する店が、アタリかもしれないしハズレかもしれないという状況では、大事なものであればあるほど、クリーニングに出したくはないでしょう。
「革水」の新規顧客の約30%が口コミによるとのことですが、やはり、知人の紹介などで安心できるお店に依頼しようという方が多いと思われます。こういった状況の中で、「革水」は新規顧客に安心してもらうために世界で初めて革を洗う技術を数値化したわけです。これは、革を洗う技術に自信があるからこそできたとも言えますが、世界で初めてというのはインパクトがありますね。
口コミ以外にも安心感を与えることが出来る手段を持っている、つまり、新規顧客が注文するハードルを下げているわけですから、新規顧客の獲得において、他社をリードすることができそうです。
また、技術に自信がある場合、その技術を第三者に証明してもらうという発想は、「革水」が示しているように有効です。そして、「革水」のように業界の誰もやっていないことを先駆けてやるということに、大きな意味があります。それは、業界のパイオニアと認知されることで、他社との大きな違いとなりますので、競争上優位に立つことができるということです。
「革水」は昨年の熊本地震で被害にあわれたようですが、ぜひとも、がんばっていただき、熊本を盛り上げてほしいです。今後の「革水」の躍進を楽しみしています。