【書評】売れるお店の店主は、なぜ客の前で「正装」なのか?

 

生ゼリーは取り扱いが非常に難しく、保存料も防腐剤も入ってないため管理が大変で、杉山氏は、全国の百貨店やスーパーの催事には新人歌手のライブツアーのように自ら行く。販売開始30分前になると、並んでいるお客さまに、「朝早くからありがとうございます。でも、たかがゼリーです。大間のマグロとは違います。そこはどうぞご容赦ください」と冗談を交えて、感謝の気持ちを話す。

自ら「たかがゼリー」とは言いながら、その時にはパティシエらしく、金ボタンの付いた白のコックコートを必ず着る。杉山氏はかつて、生ゼリーが注目され始めた頃は私服で店に出たり取材を受けたりしていたが、「シェフスタイルの服装のほうがフルーツアーティストのイメージにふさわしいよ」と知人からアドバイスを受けて、納得し取り入れた。

杉山フルーツの生ゼリーやギフト用の果物は決して安価なものではない。それなのに、販売する側の人間がセンスのない私服だったり、シミのついたコックコート姿で応対すれば、お客様には失礼にあたる

たとえ地方の小さな果物屋さんであっても、生ゼリーをお買い求めになる瞬間はお客様にとっても晴れの舞台のような、高価なものを買う特別なひとときだ。だから、自分たちも気持ちを高めると同時にそれにふさわしいイメージづくりをするのは当然だ、と杉山清氏は述べている。

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