森友学園、なぜ許可を出した「日本維新の会」が追及されないのか

 

蜜月関係を保ってきた官邸と松井知事との間に一時的ではあれ波風が立ったのは3月24日のことだ。参議院予算委員会で、安倍首相が心配していた質疑があった。

安倍首相は、維新にかねてより批判的な言動を示してきた西田昌司議員の大阪批判を封じ込めることに腐心していた。

朝日新聞によると、3月6日に西田議員が森友問題で質問することを知った安倍首相はその4日前、直接、西田議員に電話し、土地が約8億円値引きされたことの「正当性」を、質疑を通してうまく説明するよう求めていた。「西田さんは大阪問題でやりたいだろうけど、それを頼んだのが安倍だと言われたら…」。憲法改正に協力してくれる維新をかばい、「大阪問題を避けるようにというのが首相の意図であろう。

3月6日の西田議員の質問は安倍首相の思い通りに進んだ。ところが、3月23日に行われた籠池氏の証人喚問で、山本太郎議員の「怒りをおぼえた政治家は?」との問いに、籠池氏が「大阪府知事です」と答えたことで、西田議員の維新嫌いの種に火がついた

翌3月24日午前の質疑では、首相からの事前要請がなかったのだろう、西田議員は「財務省の土地売却価格決定には一点の瑕疵もない」としたうえで、次のように主張した。

(森友学園は)建設資金がなく認可できないケースだ。大阪の私学審議会からはじまった話で、松井さんがかけてあげたハシゴから籠池さんが勝手に落ちた。ここはハシゴをかけてはだめなんだ。規制緩和の風に乗ってやった。その意味では籠池さんは気の毒だ。これは大阪の問題だ。

松井知事は証人喚問における籠池発言に続く西田議員の口撃に感情を抑えきれなかったようで、報道陣に「いつでも証人喚問に行く。欠席裁判で人のことをけなすなら僕を呼んでほしい」と語った。

さらに松井知事は、鬱憤を晴らすかのように、次のようなツイートを連発し、心の内を惜しげもなくさらけ出してみせた。

理財局長は「国有地売却にあたって、日々、地方自治体に足を運んで協議しており、今回の森友学園への土地売却についても、通常業務範囲」と答弁されました。

この理財局長の答弁を受け、西田議員は「では問題なし」後は大阪府の責任と一方的な通告で質問終了。通常近畿財務局から国有地売却の意見照会は文章で総務部に届きます…4年間で71件の意見照会がありました。

四年間の71件の意見照会において、近畿財務局職員さんが府庁に足を運んでいただいたのは、平成26年の一件のみ、この案件が、森友学園の件です。

森友学園の件で財務局は通常業務の範囲をはみ出し特別扱いしたではないか、と言いたいのだ。明らかに、政府与党への怒りがこの時点では感じられる。

翌日、東京都内で開いた党大会のあいさつでは、「油を注いでいるのは皮肉にも安倍晋三首相だ。忖度はないと強弁し続けるから、そうなる。忖度はあったと認め、いい忖度とやってはいけない忖度があるとはっきり言うべきだ」などと、盟友、安倍首相にまで不満の矛先を向けた。

この事態に、おそらく菅義偉官房長官が動いたのであろう。松井知事とは気軽に電話で話せる間柄だ。

数日のうちに、松井知事の口から「証人喚問に行く」などという言葉は聞かれなくなった。3月29日の定例会見では「私学審、私学課に指示をしたわけではないが、教育に競争原理を取り入れるという方向性への忖度はあったと思う」と、橋下・松井の唱える教育改革路線が愛国小学校の「認可適当」につながったことを認めた。

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