ネット炎上にうろたえる企業幹部は、まず東スポを読め

 

2. 「火のないところに煙が立たない」と信じている幹部

年齢的にネット創成期を過ごした層が管理職になっている可能性は高いのですが、年齢とは関係なくネットリテラシーには差があります。芸能人スキャンダルなどでもいまだに、「火のないところに煙は立たない」というコメントを出す人がいますが、それはインターネットが無い時代の感覚が抜けないネット原人であり、完全な間違いです。

インターネットとソフトを駆使すれば、偽造でもねつ造でも、素人が簡単にできることが理解できていない層が、こうしたカン違いコメントをするのです。何もない場所に火など簡単に起こせるのがインターネットです。こういう人が管理職を勤める会社では今回のような炎上案件に適正な対処ができず、「すぐ取り下げお詫び」ということになっていると見ています。

しかしそもそも炎上でも何でもないネガティブコメントすら嫌なのであれば、インターネットなど使わなければ良いのです。ネットの匿名性と伝播力は人間の邪悪な本能やネガティブ思考悪辣な面を増強することができることもわからず、Web戦略など語られても現実感が無さすぎます。

結局実態を理解しない管理職が決裁者となり実行した案件で、わずかでもネガティブな反応があれば慌てて引っ込める。クレーマーが大勝利となって、次の獲物を狩りに行くという構図が出来ています。そうしたクレーマーに餌を与えて養っているのは身内である管理職なのです。

3. 実体のない批判

国際大学 GLOCOMの山口真一氏による調査では、約 2万人を対象として、過去1度でも炎上に書き込んだことがある人は、ネ ットユーザの約 1.1%、1年以内に絞ると約 0.5%となっている。つまり炎上に参加しているのは1年以内であればたった0.5%しかいない訳で、炎上を世論とか市場お客さんの声ととらえるにはあまりにも無理すぎることがわかります。

つまり炎上させているのはお客ではないのです。クレーム対応でも最悪の事態は、中身も理解できない「上役」がしゃしゃり出て、現場担当者が悪くもないのに「とにかく謝れとひたすら低姿勢を強要する行為です。せっかくクレーム客とのコミュニケーションを通じて、もしかすればロイヤルカスタマーになったかもしれない客を、ただのクレーマーに育て上げる行為がクレーマーの言いなりになることです。

当然店員はお客の奴隷でもなんでもありません。お客様は神様どころか、代金も払わない人間はそもそもお客ではありません。「世間を騒がせた」とミュージシャンを批判する人はおそらくそのミュージシャンの作品を何一つ買っていないし聞いたことすらもない人ばかりでしょう。管理者保身以外に何の意味もない態度が「すぐ謝って撤回」なのです。

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