歌謡や舞踊が中心の能
能は面をつけ「そうろう調」の言葉で演じられます。能を象徴する面は「おもて」と呼ばれ一見、無表情ですが、演者は能面の影の角度などで巧みに感情を表します。
能に登場するのは、主役の「シテ」と演技を引き出す脇役の「ワキ」、他にも「ツレ」などの役割があります。役柄はそれぞれ専門分野が決まっています。「シテ」が「ワキ」を演じるようなことはありません。主役の「シテ」は面をつけますが、「ワキ」は面をつけないので、初めて能を観る方でもどちらが主役なのかがすぐ分かります。
能は歴史上の人物や物語を題材にした悲劇の物語が多く扱われます。また能には、幽霊や亡霊、鬼がよく登場します。源氏物語の六条御息所の生霊が主人公の「葵上」など悲劇的なものが多いのが特徴です。
能に用いる装束や小道具は、京都の伝統工芸技術の粋を集めた豪華なものが多く、とても見応えがあります。能は幽玄美の世界を表現する古典芸能です。