温泉の「タトゥー禁止」問題。観光立国への道に立ちはだかる壁

 

星野リゾートの星野佳路代表は「小さい入れ墨でも入浴を拒否し続けるのか。外国人が増えていく中、何らかの新しいルールが必要だ」と説明している。

この星野リゾートの発表が今年の4月15日のこと。前述の『温泉批評』の発売が昨年10月中旬である。むろんそれまでも星野リゾートでは何らかの協議がなされてきたのだとは思うが、記事の反響がフェイスブックなどでも広がりを見せてきて、結果、最終的な判断に至った、と考えるのは自然だと思う。

また、つい先だって6月には、この問題を受けて観光庁が全国約3700の施設で初めての実態調査に乗り出したという発表があった。

観光庁は結果を基に、宿泊業界などと相談しながら対応策を検討するという。久保成人長官は「どうするかの具体的な方針を持ち合わせていないが、まずは実態を把握する」と話している。

そもそも、旅館業法などでは刺青やタトゥーを入れた人の入浴を断るという具体的な定めもない。だが、皆さんもご存知の通り、多くの施設で「お断り」の掲示がされている(本当に断っているかは別だが)のが実態だと思う。

しかし、茂木氏のいう通り、スポーツ選手にもタトゥーを入れている人はたくさんいる。将来の東京オリンピックなどで日本を訪れたこれらの外国人選手や観光客らが、日本観光の大きな魅力の一つである温泉から閉め出しを食らうということにつながりかねないのは、やはり問題だ。

茂木氏や『温泉批評』の記事でも指摘している通り、「ベッカムやネイマールが温泉にきたら、入浴を断るのか?」ということを考えたとき、断った場合はそれぞれの国の英雄を差別するわけで、国際的な問題になるだろうということは想像に難くない。

簡単に結論の出る問題ではないとは思うが、これを機に大いに議論して正しい方向性を見出して欲しいものだ。

ちなみに僕自身の意見は、もちろん、入浴OK、である。

image by:Shutterstock

 

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