【書評】国民を戦争へと導いたマスコミに再び虐殺される日本人

 

著者は「同じような『実体とはちがうシンボルを用いて自説を押し通そうとする人々』は後を絶たない」と警告する。メディアが真っ当なら、悪意のシンボル操作をする論客は排除できるはずだが、メディアが挙げて偏向報道まっしぐら。モリカケ報道なんて「ベニスの商人=悪人」論以下の、愚劣ネタである。

「日本が戦争に巻き込まれる」「この道はいつか来た道」などという情緒的報道に慣らされ人々は、理性的な判断力を失っている。大東亜戦争に負けかけていたのに、朝日新聞らは勇ましい標語で国民の志気を高めようと煽りに煽った。日本を悲惨な運命に導いたのは、情緒過多のマスコミのせいではなかったのか。

新聞社出身のテレビキャスターたちは、例外なく自分の意見を言いたがる。この欲望がニュースの質を著しく低下させた。大方はピント外れか偏向である。こんな連中をあたかも良識の代表のように扱い起用し過ぎる。どう考えても、これはフェアではない。最近はメディアの望まぬ事実なかったことにされる

著者の経験では、英国の街角でインタビューしようとすると「私には(それについて)語る資格がありません」と丁寧に断る人がかなりの割合でいた。思慮深い人は、微妙な領域についてはコメントを避けるのが普通だ。このような慎重さ、賢さが日本のマスコミを覆うようになれば、報道内容は深みを増すだろう。今の日本のニュースには、お仕着せの価値観しかない、愚論ばかりである。

戦後72年、日本が最も大切にしてきたもののひとつが、多様で柔軟な価値観でした。さらに権力や周囲の圧力をはねのけて、自分の考えを表現できる「自由」でした。その自由が、いま失われそうになっている、と私は感じています。

いよいよ総選挙、日本に迫り来る国際的危機に触れる野党はないだろう。大方の驕り高ぶるメディアも同様だ。魑魅魍魎を担ぐのに邁進中である。

編集長 柴田忠男

image by: Shutterstock.com

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