これに近い姿勢を生身で私が垣間見たのは小泉さんが最初で最後だ。あの時、郵政改革が日本国民や日本国政府が命運をかける課題設定として妥当か、私はそうは思わなかったが、彼の答弁や会見を間近でみて伝わってきたものがあった。小泉さんは5年あまりトップをやられたが、それを30年やったリーさんはその連続だったわけだ。そしてはるかに統制が難しい中国系の国民、そしてインド系やマレー系も含めて多民族国家を切り盛りしてきた。
どれだけ緻密に連続して課題設定をしてきたか? そのためにどれだけの時間とエネルギーを賭けて未来を読んでいたか。しかし、そのシンガポールも課題設定に苦しんでいると思う。 現首相の次といわれる若手閣僚2人と間近に話をしたことがあるが、正直、課題設定できているとは思えなかったし、それに命を懸けている感じも確信できなかった。
今の私が日本の首相だったら何を課題として設定するか。かなりヤバいものになりそうだから、民間人でよかった(笑)。
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『田村耕太郎の「シンガポール発 アジアを知れば未来が開ける!」』より一部抜粋
著者/田村耕太郎(前参議院議員)
早稲田大学、慶応大学大学院、デューク大学法律大学院、エール大学経済大学院を各修了。シンガポールを拠点に、歯に衣着せぬ鋭い論調で「日本の良い箇所・悪い箇所」を指摘するメルマガは、世界で勝負したいという人必読。
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