韓国に10年遅れ。低レベルすぎる日本のサイバー・セキュリティ

 

2003年の調査を通じて、米国などのハッカー出身のサイバー・セキュリティの専門家たちと知り合ったのですが、彼らが自分たちの水準に達していると認める日本人は2人しかいませんでした。

原因は明らかです。世界の先端を行く人材は例外なく3歳くらいからパソコンに触れ、12歳くらいで最高のスキルを身につけるに至っている訳ですが、日本の子どもは「日本でしか通用しない受験競争」で勝つための塾通いに明け暮れる結果、パソコンに慣れ親しむことなどなかったからです。

ここで紹介した清水郁実さんの場合は、「好きなことを思いっきりさせたい」(父親の誠さん)という家庭的な理解に恵まれ、「3歳で携帯メールに興じ」ることから今回の快挙が生まれています。

清水さんが、今回の3位入賞を大きなステップとして、ますますスキルを磨いていくことは間違いないと思いますが、問題は清水さんのようなケースが日本では例外であり、稀有とも言えるということです。

記事にもあるように、「セキュリティ人材が8万人足りないとされる日本」です。国を挙げてのハッカーの英才教育制度を導入した韓国が、世界最高レベルの専門家が競う本戦(清水さんはオープン戦)で優勝したのに対して、日本は「本戦には1チームも出られなかった」という現実を肝に銘じて、官民を挙げてセキュリティ水準の向上に取り組んでもらいたいものです。

日本にも、「好きこそものの上手なれ」という言葉があるのですが、それを忘れないようにしたいものです。

image by: Shutterstock

 

『NEWSを疑え!』第426号より一部抜粋

著者/小川和久(軍事アナリスト)
地方新聞記者、週刊誌記者などを経て、日本初の軍事アナリストとして独立。国家安全保障に関する官邸機能強化会議議員、内閣官房危機管理研究会主査などを歴任。一流ビジネスマンとして世界を相手に勝とうとすれば、メルマガが扱っている分野は外せない。
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