がん検診はカネと時間の無駄。早期発見で得するのは医療資本のみ

 

名郷さんの主張を私なりに解釈すると、人は長生きをするためにのみ生きているわけではない、ということだと思う。私は毎日酒を飲む。飲まない日はない。酒を飲まなかった記憶のある直近の日は1987年の2月だったので、連続飲酒記録は28年を超えた。28年×365日=10,220日だから、10,300日以上毎日酒を飲んでいることになる。1日の酒代を平均500円として、500万円飲んでしまったことになる。医者には滅多に行かないので、国に払った酒税は、公的に補助してもらった医療費よりもはるかに多いだろう。それで急性アルコール中毒か何かでばったり死ねば、医療費を使わなかった人として表彰してもらいたいくらいのものだ。酒を飲んだり、タバコを吸ったりしていると、医療費がかかるというウソ話が流行っているけれど、少なくとも私に関して言えば、これは全くの誤解である。

名郷さんはタバコは平均的には健康に悪いという前提で(私があちこちで書いているようにタバコの害には個人差があり、タバコを吸ったほうが長生きする人もいると思う。122歳5ヶ月という世界一の長寿記録を持つジャンヌ・カルマンさんが禁煙したのは117歳の時なのだから)、禁煙は短期的な医療費を減らすかもしれないが、長期的には生涯医療費を減らさずむしろ増大させると主張している。長生きすればするほど、医療費は増大するのである。私が常々主張しているように一番健康に悪いのは長生きなのだ。タバコも酒もやらず、健康第一の生活をしていても、最後は必ず年を取って、介護が必要な年数は増えるのである。これは必然的に医療費の増大をもたらすのだ。先に述べたように、平均寿命が長い女性は死ぬ前に介護が必要な年月も男性より3年長い。病気になってとっとと死ねば、医療費はそれほどかからない。ちなみに2009年度の男性の平均生涯医療費は2,200万円、女性のそれは2,500万円。長生きする女性のほうが医療費を使うのである。

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