恐ろしい中国。「社会主義帝国化」宣言した隣国は世界を支配する

 

中国常務委員会メンバー

大会直後に決定されたトップ指導層の人事では、今回の党大会で習近平国家主席と李克強首相以外の政治局常務委員は全員定年退職した。その後任に選ばれたのは、栗戦書氏(党中央弁公庁主任。日本の官房長官のような地位)、汪洋氏(経済担当の副首相)、王滬寧氏(党中央のシンクタンク)、趙楽際氏(党中央組織部長。王岐山の後継として反腐敗運動を担当)、および韓正氏(上海市書記)である。

しかし、習氏の後継者となる可能性があると見られていた、陳敏爾重慶市書記胡春華広東省書記は、いずれも政治局常務委員に選ばれなかった。胡氏は共青団派のホープであるが、習氏は嫌い、両方を常務会メンバーにしなかった。

これで、習近平は3期目を目指していることが明らかになったようで、1期は5年であることから15年の長きにわたり権力の座にいることになる。

今後の中国はどうなるのか?

楊偉民・中央財経指導小組弁公室副主任は、「経済規模の倍増」のような目標は今後掲げないとの新方針を明らかにした。高度成長追求から質重視の路線に転換するという。しかし、中国は国内総生産(GDP)と個人所得を2020年までに10年比で倍増させる計画。達成する可能性は高いが、楊副主任は「GDP倍増といった目標は(21年以降)掲げない」と述べた。

中国人民銀行の総裁を15年も務め上げ、間もなく引退する周小川氏が、次の言葉で全世界から大きな注目を集めた。

経済における景気循環の増幅性の要素が多すぎるならば、この周期の変動が巨大と呼べるほどに拡大され、繁栄の時期に示す過度の楽観性により、矛盾の蓄積が作り出され、特定の時が到来するならば、いわゆるミンスキー・モーメントが生じることだろう。この瞬間に伴う急激な調整こそ我々が避けるべきものだ。

と言ったのである。

ミンスキー・モーメントとは、米国のエコノミストであるハイマン・ミンスキーが、もしすべての銀行が貸出資金の回収に奔走するならば、金融危機は避けられない。この一瞬のことをミンスキー・モーメント(Minsky Moment)と称したことによる。

要は、中国の金融機関が大量の通貨を企業に貸し出しているが、それが限界に来ると、中国経済は金融崩壊を起こすので、徐々に貸出を抑えて、徐々に資金回収をするべきであるが、急に行うべきではないということのようである。中国企業は資金の借入れが多く、総資産の200%にもなっている。

このため、企業買い出しを抑えることが必要であり、そろそろ高度経済成長から巡航速度に落とすしかないようである。そのことを楊氏も言ったようだ。

2050年になると、中国も人口減少になり、日本の今の状態と同じようになる。そこまでには軟着陸しようとしているようである。

このため、この20年から30年間が中国経済の発展期であり、それに伴って軍事力も強くなり、世界の盟主になれる時期でもある。

しかし、国内での言論統制などにより、国内の不満も高くなる可能性もあり、中国の国内外の動向は、日本の経済的・安全保障的な問題にも直結するので、十分な注視が必要であろう。

大国中国の近傍に位置する日本は難しい立場になることだけは確実である。

さあ、どうなりますか?

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