台湾の名門大学は相変わらず超人気で狭き門ですが、アメリカや日本に留学するケースも増加の一途をたどっています。また、受験大国である台湾なだけでに台湾の若者の学力は国際的にも高いほうです。
OECDが進めているPISA(Programme for International Student Assessment)と呼ばれる国際的な学習到達度に関する調査があります。PISA調査では15歳児を対象に読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーの三分野について、3年ごとに調査を実施していいて、2015年の調査では日本と台湾は上位にランクインしています。
学歴社会であるがゆえの受験大国台湾ですが、受験準備によって得た学力を持った若者たちは世界各地で活躍しています。また、2013年に学生たちによって起こされた「ひまわり運動」を支えたのも、厳しい受験戦争を勝ち抜いてきた台湾の精鋭たちです。
こうした現象を見ると、今のところ受験戦争が台湾社会に大きな負のエネルギーにはなっていないようですが、当事者である子供たちは大変でしょう。日本も同様ですが、とにかく現代社会を生きる子供たちが背負っているものは、あまりに多く、大きく感じます。
日本では、寝不足から体調を崩す子供、学校や塾の重たい荷物を背中に背負うため腰痛を発症する子供など、健康被害が徐々に出始めています。いくら少子化社会とはいえ、子供たちにあまり大きな十字架を背負わせては、子供がつぶれてしまいます。台湾も、子供を取り巻く環境にそろそろ目を向けたほうがいいかもしれません。
少子高齢化は、日本、韓国、台湾、中国など東アジア共通の問題です。さらに、ただでさえ少ない若者が欧米に流出してしまう現象も共通した問題です。ボーダレスの現在、若者たちは軽々と国境を超えて自分の求める環境を手に入れています。それはネット世代と、それ以前の世代との「世代の断絶」問題です。
また、少子化によって博士号が容易に取れるようになったという現象も出てきています。それに加えて、言語のグローバル化です。日本では、日本国内にありながら、社内の公用語を英語にする企業も出てきています。そうした社会環境のなかに置かれた若者たちは、一体どこへ向かおうとしているのか。「世代の断絶」によって、大人が若者を誘導する時代でもなくなったしまった今、教育をめぐる新風が吹いていることを感じざるを得ません。
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