実際に株式会社リクルートキャリアの就職みらい研究所が発行する「就職白書2017」によれば、「企業が採用基準で重視する項目」の1位は「人柄92.9%」、2位「その企業への熱意76.1%」、3位「今後の可能性68.8%」となっており、「大学・大学院名」は11位で14.7%でした(「大学・大学院名」については2014年の同調査とくらべて5.3%減少)。すでに一部の企業を除けば、学校歴が就職活動に有利にはたらく時代は終わりに近づいていると言えるのです。
大学入試に話を戻すと、今後各大学でおける個別入試では、アドミッション・ポリシーに基づいた様々な形での選抜方法がとられるようになっていきます。
学力はもとより「高校までにどんなことに興味・関心を持ち、どんな活動をしてきたのか」ということがこれまで以上に重視される可能性もあります。それは、どの学齢期においても受け身ではなく目的をもって主体的に学ぼうとする姿勢が求められることでもあります。逆に言えば、今後は、そうした主体性を育んでくれる教育システムや学習環境が整った学校に人気が集まり、学校側も明確な教育方針や特色を打ち出していかないと、少子化が進む中で生き残ることが難しくなるかもしれません。
一方、受験する側は学校の名前や偏差値だけで選ぶのではなく、将来を向けて自らの学習歴や強みをどう生かし伸ばしていくのか、そうした視点での学校選びこそが大切になっていきます。実際に中学受験の世界でも、2020年に向けて学校改革に積極的に取り組んでいる学校は増えていますし、保護者の方の受験に対する考え方にも変化が出てきていると感じています。
今回の大学入試改革によって、日本の受験システムが100メートル走を全員で走るような一種目全員参加型から、それぞれの得意技を生かせる多種目個人参加型に変わっていくなら、受験そのものが、自らの特性を知り、深め、磨いていくための真の成長の機会となり、その過程で得られる豊かな経験知、多様な学習歴こそが、新時代のエリートの条件になっていくのではないでしょうか。
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