学校歴より学習歴。教育のプロが語る「新入試制度」の就活への影響

2017.12.19
 

そこで文科省は2017年4月から、「入学者受け入れの方針(アドミッション・ポリシー)、教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)、卒業認定・学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)」の3つの方針について、一貫性のあるものを策定し公表することを、すべての大学に義務付けました。

ディプロマ・ポリシーとは、どのような力を身につけた者に卒業の認定や学位の授与をするのか、その基本方針を定めたものであり、それを達成するためにどのような教育課程の編成をするのか、教育内容の実施をするのか、またその成果をどのように評価するのかを定めたものがカリキュラム・ポリシーです。

そして、アドミッション・ポリシーとは、ディプロマ・ポリシー、カリキュラム・ポリシーを踏まえたうえで、どのような入学者を受け入れるのかという基本方針であり、入学者に求める学習成果を示すものです。この学習成果とは、新しい大学入試で求められる「学力の3要素」を指しており、(1)知識・技能、(2)思考力・表現力・判断力等の能力、(3)主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度のことを言います。

大学でどんな学びができるのか、その結果どんな力が身につくのか、そしてどんな学生に来てほしいのかを具体的に示すことは、受験生にとっても大学で何を学びたいのか、どこの大学を選ぶのかなどの指針となり、入学後に起きる大学と学生とのミスマッチを減らすことにもつながります。

さらに学生を採用する企業側にとっても、一部の学歴フィルターと言われるような入り口の偏差値や知名度に頼った採用から、「あなたは大学で何を学んできましたか」「入社してあなたは何ができますか」という学習歴を重視する人物評価の採用にシフトしていくことが可能になるのです。

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