「プーチンを裏切れ!」米国に脅迫された、ロシアの新興財閥軍団

 

さて、プーチンは、わずか3年間で新興財閥の超大物3人を打倒した。これで、残りの新興財閥軍団はプーチンに屈伏しました。「政治には口出ししません」と誓ったのです。「90年代に勃興し、2000年代はじめにプーチンに忠誠を誓ったグループ」、これが、新興財閥グループ1です。

さて、勝利したプーチン。彼は、信頼できる友人、部下たちを、経済の主要部門に送りこみました。国営石油会社ロスネフチは、ユコスを吸収して巨大化した。この会社のトップ、セーチンさんは、プーチンにもっとも近い人物として知られています。

国営ガス会社ガスプロムは、ベレゾフスキーのシブネフチを吸収し、さらに巨大化しました。ガスプロムのCEOはミレルさん。ミレルさんは、レニングラード財政経済大学を卒業後、サンクト・ペテルブルグ市役所に勤め始めた。その時の上司がプーチンだったのです。1991年の話。

この二人に代表される新興財閥(国営企業のトップを「新興財閥」と呼ぶのは変な感じですが、アメリカは、ロシア国営企業のトップも「新興財閥」と認識しています)。つまり、プーチンが絶対権力を握った後に超富豪になった人々。これが新興財閥グループ2です。

アメリカは、「ブラックリストに入れば」

  • 「欧米でビジネスができなくなるぞ!」
  • 「欧米の金融機関から低金利の融資が受けられなくなるぞ!」
  • 「欧米にある資金、豪華不動産などは没収だぞ!」
  • 「オフショアにある金は全部没収だぞ!」

てな感じで、脅迫していると想像されます(脅しの内容は、私の想像です。念のため)。「ブラックリストに入りたくなければプーチンを裏切れ!」と。こんな感じですので、「アメリカとロシアが和解して、日本と共に中国を封じ込める」なんて、「遠い話」ですね。

笑うのは習近平。またもや中国は、「二虎(米ロ)の戦いを山頂で眺める」ナイスなポジションを確保しました。日本は、「米ロ中関係は、こうなっているのだよ」ということをはっきり知っておく必要がある。その上で、

  • 米 > ロ > 中

の順でいい関係を築いておく必要がある。大切なのは順番です。なんか安倍さん、最近は「中国との関係改善」を「最重要課題」にしている感じがしますが。中国との関係は、ニッコリ微笑んで、「こんにちは!」と言う。そして、「ではまた!」と言い、ニッコリ微笑んでわかれた。そんな感じでちょうどいいのです。中国と接近しすぎてアメリカとの関係を破壊することがないよう注意が必要です。

image by: SeaRick1 / Shutterstock.com

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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