9歳の少女に強制不妊手術。かつて日本に実在した残酷な法律

 

そもそも日本は過去を振り返ることをなおざりにしてきました

歴史を振り返ることでしか人は学べないのに、残念なことです。

たとえば、ドイツでは「二度と過ちをおかさない」という強い信念のもと、歴史教育を学校と社会で徹底的に行なっています

強制収容所について学ぶことは義務づけられていますし、近現代史に多くの時間がさかれる。

真ちゅうのプレートに、ナチスに虐殺された人たちの名前などが刻印された『つまずきの石』と呼ばれる敷石が、ドイツ国内に無数に埋められ、ありとあらゆる場所に加害に関するミュージアムや史跡がある。

「すごい!ここまでやるのか!」と驚愕するほど、過去の歴史と向き合う取り組みが行なわれているのです。

片や日本はどうでしょうか?

今回、先のニュースが報じられ、テレビやラジオの出演者の多くが、「え? 1996年までそんな法律があったの? それが驚き」という発言をしていました。

確かに、たった20年前です。

でも、それはたった20年前のことを知らなかった」という事実でもあります。

そうです。たった20年前。バブルが崩壊して山一証券が自主廃業を発表したときの記憶は鮮明に残っているのに、「優生」という、極めて問題のある文言が法律から消えたときのことは覚えていないのです。

お恥ずかしいことですが、かくいう私もそのひとりです。

1996年、私は「ニュースステーション」に出演していました。

報道の第一線の現場にリアルタイムでいながら、当時、どのように番組で、優生保護法改正のニュースが報じられたのか?

そもそも改正されたことが、報じられていたのか?

どちらの記憶もない

微塵もないのです。

もし、仮に報じられていたとしても、当時の私は「え! 今頃? ナチスドイツじゃあるまいし、遅過ぎる!」なんて気持ちにはならなかったと思うのです。

だって、批判を恐れずに告白すると、興味がなかった

女性のための法律。出産に関係する法律。その大切な法律を女であり、30歳というこれから子どもを産むであろう年齢でありながら、「自分には関係ないとどこかで思っていたのだと思います。

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