人気はスタバ以上。顧客を「違いがわかる人」にするカフェの戦略

MBA20180214
 

現在我が国では熾烈な「コーヒー戦争」が繰り広げられていますが、品質へのこだわりを貫き、地元の人たちからスターバックスを凌ぐほどの絶大な支持を集めているカフェがあります。今回の無料メルマガ『MBAが教える企業分析』では著者でMBAホルダーの青山烈士さんが、茨城県の人気カフェ「サザコーヒー」の戦略・戦術を分析しています。

顧客を育てる

茨城県でスタバを凌ぐほどの人気を誇るカフェを分析します。

サザコーヒー

戦略ショートストーリー

コーヒーにこだわりのある方をターゲットに「コーヒーへの一途な思い」に支えられた「とても飲みやすくておいしい」「居心地が良い」等の強みで差別化しています。

世界一のコーヒー「パナマ・ゲイシャ」や「徳川将軍珈琲」など、最高級の珈琲豆を使用したこだわりのコーヒーを提供することで顧客から支持を得ています。

■ 分析のポイント

顧客を育てる

サザ(サザコーヒー)は、地元の茨城では、スタバ(スターバックスコーヒー)を凌ぐほどの人気とのことですが、両社の戦略比較を通してその理由について考えてみたいと思います。

消費者がコーヒーを飲みたいと思った時にもし、サザとスタバが並んでいたとして、どちらへ行くかは、コーヒーを飲む際に何を重視するかが決め手になります。もし、サザの方が人気があるのであれば、サザにあってスタバにないものを消費者が重視しているということでしょう。

では、実際にサザの戦略をみてみると「最高品質といえるような革新的な製品を提供する戦略」です。とにかく最高品質のコーヒーを提供することにこだわっていますので採用している戦略が明確です。

一方で、サザを競合ととらえた場合、スタバはどのような戦略をとっているのかというと「顧客の個々のニーズを満たして戦う戦略」だと思います。理由としては、スタバも、コーヒー自体の品質は高いですが、単純な品質の比較では、サザに軍配があがりそうですので、サザにはない「多彩なカスタマイズができるメニュー」が強みになるでしょう。ちなみに、低価格戦略のドトールを競合ととらえた場合、「おしゃれさ」や「高品質な製品を提供すること」も強みになります。

以上でわかるようにサザもスタバも戦略が異なっています。戦略が異なれば、商品や価格帯などの戦術も異なります。戦略・戦術が異なるということは、異なるニーズに応えているということになります。つまり、サザとスタバはそれぞれ、消費者の異なるニーズに応えているわけです。ですから、品質にこだわる方はサザを選ぶでしょうし、カスタマイズにこだわる方は、スタバを選ぶでしょう。

そこで、話を戻してサザの人気がスタバを凌ぐということであれば、サザの出店エリアには、品質にこだわる方が多いという仮説が立てられます。

今回のポイントはサザは、地域密着企業として、その地域の方をコーヒー好きに育てるような取り組みをしていることです。サザは、世界記録豆を継続して落札するなど、品質へのこだわりを発信し続けていますし、地元のマラソン大会などのイベントで、こだわりのコーヒーを無料で提供しています。

これが何を意味するかというとこだわりのコーヒーを認知する機会や味わう機会を提供することで、消費者、特に地元の方をより美味しい、こだわりのコーヒーの世界に導いているわけです。

こういった取り組みをとおして、コーヒーの品質にこだわる方を増やすことがスタバを凌ぐ人気につながっている一つの要因となっているのでしょう。さらに、地域の方の地元企業を応援したいという気持ちも後押ししているかもしれませんね。

今後、サザコーヒーの「コーヒーへの一途な思い」がどのような形で表現され、消費者に浸透していくのか、非常に楽しみです。

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