目標を達成した日本は、「対話派」に転向すべき
世界が「対話」にむかっているときに、いまだに「圧力、圧力」といってる人がいます。この人たちは、もう一度「圧力の目的」について考えてみてほしいです。圧力の目的は、「北から譲歩を引き出すこと」だったはずです。どんな譲歩? そう、「前提条件なしの対話ではなく、非核化にむけた対話をすること」です。
金正恩が自説を曲げて折れた時点で、「圧力」の目的は達成された。だから、制裁を維持しつつ、日米の前提条件で対話を開始するのは当たり前でしょう???? 「まだ圧力派」の人たちは、核戦争を望んでいるのでしょうか?
私は「金正恩が『核放棄』の意思を明確に。どこまで信用できるのか」で、
今後どうなっていくかわかりませんが、日本は、トーンをアメリカにあわせていく必要があるでしょう。「圧力!」「圧力!」と繰り返すだけでなく、「本当に非核化につながる対話ならば、歓迎する」というべきです。そうでなければ、「日本だけ好戦的」になってしまいます。
と書きました。そして、安倍総理は9日、こう語りました。
「先ほどトランプ大統領と日米首脳会談を行いました。北朝鮮が非核化を前提に話し合いを始める、そう北朝鮮の側から申し出たこと、その北朝鮮の変化を評価いたします。
まさしくその通りです。「前提条件なしじゃなければ対話しない!」といってたのが、「非核化前提」に変わったのですから。
これは日本と米国がしっかりと連携をしながら、さらには日米韓、国際社会共に高度な圧力をかけ続けてきた成果であろうと思います。そのことについてはトランプ大統領とも一致しました。
これも、その通りだと思います。BBC3月9日は報じています。
経済統計を見ると、国際社会の相次ぐ制裁に北朝鮮経済が打撃を受けているのが分かる。北朝鮮の輸出高は昨年の時点で30%減少した可能性がある。特に、最大貿易相手の中国への輸出は最大35%も減ったようだ。つまり、北朝鮮経済の3割が消えてなくなったということだ。
さて、安倍総理は、つづけてこう語ります。
核・ミサイルの完全検証可能かつ不可逆的な形での放棄に向けて、北朝鮮が具体的な行動を取るまで最大限の圧力をかけていく。この日米の確固たる立場は決して揺らぐことはありません。
これが大事ですね。金正恩は、核兵器を保持したままで、日米からの支援や、制裁解除を求めてくるかもしれません。
いずれにしても、「圧力派」としての一つの目標は達成され、金正恩は、「非核化する意志」を示しました。それで、米朝対話が開始されるのは、極めて「論理的な流れ」であることを、私たちは自覚しておく必要があります。
日米は、「核放棄」を要求し、見返りは、「体制保証」。金正恩は、「その前に支援」「制裁解除」などといって、だまそうとするかもしれません。しかし、それは、「だまされないように対話、交渉しましょう」という、別次元の問題なのです。
繰り返しますが、対話開始に反対の人たちは、今一度「圧力をかけつづけてきた目的はなんだったんだっけ?」と自問していただきたいと思います。そうすれば、「あ!金正恩に、非核化の意志を示させることだったのだ!」と「思いだす」ことでしょう。
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