「わしは高橋さんから相談を受けているから、組合との交渉はすべて高橋さんに任せているんや。高橋さんくらい会社のことを考え、従業員のことを考え、組合のことを考えている人はおらんで。あの人は絶対に手練手管はやらん。あの人は神様や。わしはいつも高橋さんの後ろ姿を拝んでいるんや」
以上は当時の書記長で後に取締役になった高畑敬一さんが書き留めた言葉ですが、これを聞いた組合幹部は創業者と高橋さんの信頼がこれほどまでに強固なのかと驚き、いたく感動するのです。結果として組合はすぐに要求を取り下げ、交渉は妥結しました。
高橋さんが海外担当の副社長になった後も、組合側との最終交渉は常に高橋さんの役目でした。高橋さんが出てこない限り、組合側は決して納得しません。それは一方で、高橋さんが創業者だけではなく組合員からも厚い信頼を得ていた証左でもありました。
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