それにしても、事実を塗りつぶし恫喝まがいのことをするこの手法、官邸の姿とそっくりではないか。
いまの政治状況から見て、官邸の許可なしに財務省が今回のような行動をとれるはずはない。官邸が財務省の独断に困っていたとか、菅官房長官が麻生財務相に遠慮したという図式で見るメディア、識者もいたが、はなはだ疑問である。
ならば、福田次官の更迭方針をいったん取り下げ、財務省の開き直りを許してしまった官邸の当初の思惑はどこにあったのだろうか。
福田次官がセクハラで辞めることになった場合、森友問題で一切責任をとろうとしなかった麻生財務大臣の進退が再び大きな問題として浮上するのは確実だ。安倍首相を支えてきた自民党実力者、麻生財務大臣の進退は、近づく自民党総裁選での安倍三選に影響する。総裁選まで麻生氏とのタッグを解消したくないというのが安倍首相とその周辺の本音だろう。
今井尚哉秘書官を中心とする安倍官邸の空気も、財務省の姿勢に反映されているような気がしてならない。彼らは、宣伝によって事実をすり替える。
「国民の安全を守るため」、「平和のため」といって戦争のできる国家体制をつくろうとする。「国家戦略特区」だと大風呂敷を広げて、安倍首相の親友が経営する学校法人の獣医学部新設に特例待遇を与える。
クロをシロと言い、あるものをないと言う点で、福田次官と財務省の奇怪な開き直りは、モリ・カケや自衛隊日報問題とも通底している。
事務次官は、大臣が任命するが、内閣の承認を必要とする。つまるところ、その不祥事は、安倍首相が無関係を装って済むことではない。官邸が幹部官僚の人事を事実上握っている以上、首相の責任は重大である。
テレビ朝日の会見によって、「次官にも人権がある」と開き直りの先頭に立っていた麻生財務相の辞任は不可避の状況になりつつある。トランプ大統領とのゴルフ外交で失地回復を狙う安倍首相の旗色もますます悪くなった。
image by: 安倍晋三 - Home | Facebook