E子 「日本では35歳以下のニートを『若年ニート」。35歳以上のニートを『中年ニート』と定義して呼び始めているそうよ」
大塚 「35歳で住み分けをしているんですね」
E子 「っていうか、もともとニートの定義は、15~34歳の非労働力人口の中から、専業主婦を除き、求職活動に至っていない者と定義されていたそうよ」
大塚 「だから、35歳で線引きがあるんですね」
深田GL 「要は、ひきこもりの長期化、高年齢化が深刻になってきているってことですよね?」
所長 「ニートという言葉が使われ出したのは、日本では、2004年。2003年に厚生労働省所管の特殊法人である日本労働研究機構(現在の労働政策研究・研修機構)が若者就業支援政策の国際比較研究の中で『ニート』という用語を用いて、イギリスでの若者支援政策を紹介し、翌年の2004年に、同研究員の玄田有史が、『ニート ─ フリーターでもなく失業者でもなく』を発表したのがきっかけだそうだよ」
E子 「ニートという言葉が流行ったのは、2004年。ってことは、今から14年前。平成16年ですね。その頃、20歳だったニートが今では34歳。30歳だったニートは44歳。みんな年をとって当たり前ですもんね」
所長 「そういうことだね。『8050』問題って知ってるかい?」
新米 「いいえ、『8020運動』なら知ってますけど…」
大塚 「いやいや、それとは違うでしょ」
所長 「ひきこもりが長期化すると親も高齢となって、収入が途絶えたり、病気や介護がのしかかったりして、困窮するケースが顕在化し始めていて、問題になってる。少し前も事件があっただろ。北海道で、82歳の母親と引きこもる52歳の娘の親子が、飢えと寒さによって孤立死した姿がアパートの一室で見つかった。こうした事件を『80代の親と550代の子』を意味する『8050(はちまるごーまる)問題』と呼んでいるんだよ」
大塚 「『7040問題』ともいうそうですね」
新米 「70代の親と40歳代の子ですね」
E子 「これまでは若者特有の問題として調査対象を39歳までにしていた内閣府も平成30年度は、40~59歳を対象にした初の実態調査を行うことを決めたそうよ。中高年層にひきこもり状態の人がどの程度いるかや生活状況、抱えている課題を把握し、支援に役立てる狙いで、今年度予算案に調査費2,000万円を計上したんだって」
深田GL 「40歳以上の調査のため、引きこもり期間については、これまでの39歳までの調査項目で上限だった『7年以上』をさらに細かく分けるらしいですね」
所長 「対象者の性別については『男性』『女性』以外の選択肢も設けることにもなるらしいよ」
E子 「ジェンダー、LGBT、SOGIにも対応していくってことなのかしら」