○○○○試験の導入が、ロシアを変えた
前回引用した文章の中に、以下のような部分がありました。
モスクワ市民も大半は、移民に差別心を持っていません。しかし、何%かは差別意識を持っているようです。旧ソ連諸国の移民に、奴隷のように接する金持ちもいます。また、「移民のせいで俺らは仕事がなく貧しい」と八つ当たりする人もいます。すると、かならず民族主義集団が登場してくるのです。
ドイツのネオナチのような集まりがどこの国にも出てきます。モスクワにも、スキンヘッド集団がいて、一時期外国人を殺しまくっていました。ここ数年は、サンクト・ペテルブルグで外国人殺しが流行っています。
するとどうなるか?
移民も一体化し防衛策をとるようになる。そして、「麻薬・売春・カジノで儲けよう」という移民のゴッドファーザー的男たちが出てきます。モスクワには、グルジア・アゼルバイジャン・アルメニア・チェチェンなどのマフィアがいて、非合法ビジネスで儲けています。
これが10数年前の状況。「スキンヘッド集団」、私も怖かったです。刃物をもった集団に襲われたら、普通殺されるしかありません。
怖かったですが、モスクワは今、ロシア人と移民、外国人労働者の対立が沈静化しているように感じます。スキンヘッド集団の話も聞かなくなりました。何が起こったのでしょうか?
状況がよくなった大きな理由は、ロシア政府が、居住権を出す条件に、
- ロシア語試験
- ロシア史試験
を導入したことです。つまり、「ロシア語が話せない外国人」「ロシア史を知らない外国人」は、ロシアに長期滞在できない。どうもこの措置が効果をあげているようなのです。
実際、以前は、ロシア語が話せない中央アジア、コーカサスの人が山ほどいました。彼らは、当然ロシア人とコミュニケーションをとることが難しく、トラブルが多発していた。彼らも怒り、ロシア人も怒っていました。
ところがこの試験を導入した後、町から「ロシア語を話せない外国人」が消えました。もちろん、ロシア語を話せない外国人観光客はいますが。そして、ロシア人と移民、外国人労働者のギスギス感は、かなり解消したように思います。
これ、日本でも導入したらいいと思います。日本史の試験が必須とは思いませんが、日本語は必要ですね。もちろん、日本人と外国人の夫婦の場合は、例外も必要かなと思いますが(たとえば、アメリカ人の夫、日本人妻、子供の家族。ダンナさんが日本語を話せなくても、妻子と引き離すのは非人道的)。その場合でも、外国人のダンナさん、奥さんが日本語を話せるようになるよう、全力でサポートする必要があるでしょう。