学校の「ブラック部活」が深刻化。形だけの週休2日では解決しない

 

アメリカの場合は、例えば野球の場合ですと、高校野球のシーズンは全国的に春だけ、つまり3月から5月の3か月間しかありません。また州大会はあっても、そこで終わりとなっていて、高校の全国大会はありません。では、野球人気が下降したり、世界的に見てアメリカからトップレベルの野球選手が出なくなっているかというと、そうではありません。

では、トップレベルの高校生たちは何をやっているのかというと、3つあります。1つは校外のコミュニティでやっている野球で、例えば警察とそのOBが主催していたり、リトルリーグの全国組織に付随したシニアリーグなどです。多くの野球を「ちゃんと」やりたい中高生は、こうした校外のチームに属して通年でプレーするわけです。

2つ目は個人指導者です。アメリカの球技の場合は、部活はほとんど試合形式であり、実戦を楽しみながら力をつけるという方法を取ります。校外のコミュニティのチームも同じです。1年生だから球拾いとか、練習時間に千本ノックというのはなくて、ひたすら試合をしています。

そうは言っても、投球フォームだとかバッティングの技術などは、そこだけ「取り出して」専門の指導者に学ぶということは必要です。そうしたコーチングを商売にしている人が、各地域にいて補足的な指導をしています。

3つ目は、他のスポーツです。野球が春なら、秋はフットボールかクロスカントリー、冬はバスケというように、各シーズンに違うスポーツの部活に属してプレーするのです。それが全体的な体力の向上や筋力の向上になるということから、野球の指導者もそれを否定はしません。アメリカでは、多くの一流選手が「野球とフットボールの双方からドラフト指名」されるのはこのためです。

この3点は、そのまま日本に応用できるとは思いませんが、とにかく「学校の部活一色」という選手たちの過ごし方を、多様なものに属し複数の指導者にコーチングしてもらう機会を与えるよう変えていかねばなりません。

print
いま読まれてます

  • 学校の「ブラック部活」が深刻化。形だけの週休2日では解決しない
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け