しかし、接客販売を始めて最初の頃は、いくら練習を積んでも、やっぱり経験が足りません。アプローチがある程度できるようになるまで待っていると、いつまで経っても店頭に出られないなんてことになってしまうかもしれませんよね。ほとんどのお店では、人も時間も足りていないので、そんな余裕がないのが現実です。
そういうスタッフの方でも、簡単にできて効果が高いアプローチが、とりあえず一声かけることなのです。
かける言葉は何でも良いというわけではないのですが、あまりそこを考えすぎて、声をかけなかったり、お客様の周りをウロウロするよりは、あまり深く考えず、声をかけておく。先ほどのような、「触ってみてくださいね」でも、「入荷したばかりなので、ぜひご覧下さい」でも、この際構いません。
そして、一声かけたら、その場で接客しようとせず、一度その場から離れてしまうのです。これなら、過度のプレッシャーを感じずに、誰でも比較的簡単にできますよね。
なぜ一声かけることが大事かというと、会話のきっかけが作れるからです。一度、声をかけておくことで、お客様は店員に声をかけやすくなります。「ちょっと試着したいな」と思っているお客様がいたとして、何もアクションを起こしていない店員を呼ぶよりも、一度でも声をかけてくれている店員を呼ぶ方が、楽に呼びやすいですよね。
また、声をかけた時点で、お客様が試着をしたかったり、他の商品を見てみたいと思っていたら、その場で返事をしてくれる可能性もあります。「広げてみてくださいね」と声をかけて、「これ着てみてもいいですか?」と返事をしてくれる場合だってあるわけです。
たった一声かけておくだけで、何もせずにじーっと眺めていたり、何と声をかけようか悩んで無駄な時間を過ごすよりも、はるかに購買につながる可能性は上がります。