【書評】電車の中で震度7が来た瞬間、生き残るためにすべきこと

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もしも震度7の地震が起きたら──。発災後の生活や防災用具などの準備ももちろん必要ですが、一番大切なのは地震が起きた瞬間に「生き残れるか」ということではないでしょうか。今回の無料メルマガ『クリエイターへ【日刊デジタルクリエイターズ】』では、編集長の柴田忠男さんが、「発災の瞬間」に焦点を合わせて、生き残るための術を教えてくれる一冊の本を紹介しています。

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震度7の生存確率
仲西宏之/佐藤 和彦・著 幻冬舎

日本防災教育振興中央会 仲西宏之/佐藤和彦『震度7の生存確率』を読んだ。わたしはマンションの防災委員会のまとめ役だから(誰もなり手がないので、仕方なく何年もやっている)この手の本はよく読むのだ。他の防災本との大きな違いは、「発災の瞬間」に焦点を合わせていることだ。

準備や発災後の生活も大事であるが、「発災の瞬間」で生き残れなかったら人生は終わりである。震度7の巨大地震に直面したときの、ありそうなシチュエーションの中で、行動の選択肢が示される。そして、読者が選択した行動の、生存確率を%で示すというわかりやすい、興味深い構成が第一章にある。

質問:地下鉄に乗車中、激しい地震に遭遇。その時のあなたのとる行動は?

1.両手でつり革につかまったまま踏ん張る
2.片方の手はつり革をにぎり離した手で頭部を防ぐ
3.その場にしゃがみこむ

回答:

1.最も危険度が低く生存確率を高める(生存確率70%)
2.片手ではつり革をもつ力が弱まり身体ごと飛ばされる可能性が高い。致命傷となる頭部の保護も片手では不十分(生存確率50%)
3.最も危険度が高い。他の人の下敷きになり骨折や内臓破裂などの重傷を負う可能性が高い(生存確率30%)

といった、18の質問と回答があって、生存確率が%で示されるから家族でゲーム感覚でトライするといいと思う。生存確率は場所と状況と行動の関数で決まる。一般的に災害時は、落ちてこない倒れてこない移動してこないの3点に注意することを基本とするが、「自分が落ちない・倒れない」を加える。

そのためには、しゃがむつかまる動かないの三つが基本で、さらに、離れる、隠れる(逃げ込む)の二つを加えて発災時の危険を軽減する。とくに「しゃがむ」行動をとるべき状況が増えている。同じしゃがむという行動でも、正しい姿勢でしゃがむことで、生存確率をさらに高めることができる。これは重要である。

著者らが考案し提唱するのが「ゴブリン・ポーズ(鬼の格好)」だ。片膝をついてしゃがみ(床や地面を3点で支える体勢)、後頭部に握りしめた両手の拳をしっかりとのせ、顔を両腕で挟み、あごを引いて完成。このポーズは、危機に直面したときに最も身体ダメージ軽減できるだけでなく、次の行動に移りやすい。頭上からの落下物に対し拳をクッションにし、脳への衝撃を和らげる。

拳が骨折する覚悟で脳を守るのだ。脇を締める動作で拳が後頭部と密着し、あごを引く動作に自然とつながる。しっかりあごを引くのは万一頭上に落下物があった場合、頸椎への衝撃を和らげるためだ。ゴブリン・ポーズは素晴らしい生存テクニックである。早速あなたもやってみよう。みんなに教えよう。

この本の後半は、発災後に始まる長い戦いを描いている。20XX年7月1日、東京湾北部を震源とするM7.3の地震が発生(首都直下地震)。3か月後にM9.0の南海トラフ巨大地震発生という、日本の息の根が止まりそうなドキュメンタリー。

……そういえばあの巨大厄災の年は、西日本豪雨があり、関東甲信の梅雨明けが異常に早い猛暑で、何かおかしな感じがした、と後に言われるようになるのか。あ、ミンミンゼミが鳴いている。いつもより一か月は早い。いやな感じがする。

編集長 柴田忠男

image by: Shutterstock.com

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【著者】 日刊デジタルクリエイターズ 【発行周期】 ほぼ日刊

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