【書評】官僚のニセ情報もチェックできぬ「文系バカ」のマスコミ

 

数学を専門にしてきたから、コンピュータ・プログラミングやAIには詳しい。SFのような話ではなく、現実のAIについて考えるべきだ、と著者は言う。AIが人間を超えることは当面ないが、人間の仕事の一部を奪うことは十分にあり得る。コンピュータの優れている点は計算能力である。それを生かしやすいのが定型的作業、ルーティンの作業だ。自動車の運転などはプログラム化できる。

弁護士、公認会計士、税理士などは国家試験で合格しないとなれないので、専門職と思われているが、やっている仕事の多くは定型的業務であり、プログラム化できる。裁判官の仕事もかなりAI化できる。資格制度に守られてきた「士業」はいずれ崩れていく。医者の世界でも、画像診断はすでにAIの方が人間の能力を上回り、支援ロボットの技術が進化して、手術の形態も変わっている。

世の中の多くの仕事はAIに代替させることができるが、ポイントはプログラム化できるかどうかだ。曖昧な仕事はプログラム化できないが、仕事の中身を定義可能なものはできる。公務員の仕事はAI化に向いている。AIのほうが恣意的な要素を入れずに、誰に対しても同じ計算をするので、人間がやるより公平になる。許認可に関わる仕事はAIにやらせれば、公務員を大幅に減らせる。

日銀の仕事はAI化できますか」と聞かれるが、もちろんできる。日銀の仕事を定義すると、失業率とインフレ率の関係を一番いい状態にする、それだけだ。ベーシック・インカム、仮想通貨についてもわかりやすい解説があって、まったく経済を知らないわたしにも理解できた。この本はやはり本人以外が書いていると思う。文系バカが文系バカ向きに、ちょっと下世話にまとめている。

著者はしばしば新聞記事の批判をしているが、財務省時代も内閣参事官時代も含め、もう30年ほど新聞を読んでいない。新聞をとっていない。原稿を書くのに必要なときには、大学のデータベースで新聞記事を検索し必要なところだけ目を通す。左派の文系バカが書いているから、新聞記事は役に立たない。イデオロギーで考える文系バカは、スポーツなどを担当するがいい(笑)。

編集長 柴田忠男

image by: Shutterstock.com

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