では、そのあり様を「戦略」として考察して行きたいと思います。
<ターゲット>
ターゲットは「ファクトリー・オートメーションをはかろうとするメーカー」で、将来的にも成長し続けるとされる有望な市場であります。
<1.ポジショニング>
「キ-エンス」の「ポジショニング」の取り方は、適切に「活動システム」を構築し強みのある「コア・コンピタンス」を形成して「ニッチ(すき間)市場」において最適化および市場独占をはかろうとするものです。「キ-エンス」は実際それを実現しており、しかもその「ニッチ(すき間)市場」は巨大な市場となっており高収益を計上しています。
売り手(顧客)は20万社を数え「世界初の高付加価値製品を連発する」ので魅力的であり、また買い手(外注企業)の多くの技術力のある中小メーカーに大量発注を行うので、ともに“価格交渉力”は強くなり、それが55.59%という同社の非常に高い営業利益率をもたらしている要因となっています。
新規参入についてまた企業間競合についても、他企業が追随できない“強み”である最高レベルの「コア・コンピタンス」を最も機能的な「活動システム」でもって創造しておりその地位を脅かされる要因は見受けられません。
<2.コア・コンピタンス(核となる技術や特色)>
世界初を連発する“企画開発力”と、顧客に密着した“コンサルティングセールス”が同社の「核となる技術、特色」です。「顧客の欲しいというモノは創らない」と豪語しているように、高頻度の密着した“マーケティング”でもって「顧客担当者以上に現場に精通」し、「欲する」以上の“効用”を「企画開発」されるのが同社の特色ある“強み”です。
<3.活動システム>
世界初を連発する“企画開発力”と、顧客に密着した“コンサルティングセールス”という「キ-エンス」の“強み”ですが、これを“原理原則”を基づいて独自性の高い「活動システム」として構想して構築したのは創業者の滝崎武光氏で、これが「キーエンス」の“好業績”の源泉です。
この「活動システム」構想の基盤要素となるのは2つです。1つは“優秀な人材”です。“優秀な人材”と言ってしまえば簡単なのですが、創業者の滝崎武光氏は経営者の仕事は“優秀な人材”を獲得であるとして、このことに最大のエネルギーを注いでこられたと噂されています。
2つ目はそれらの“優秀な人材”が「世界初を連発する“企画開発力”」となりまた「顧客に密着した“コンサルティングセールス”」となるように、徹底した「管理」と独自の「インセンティブ」の「仕掛け」があります。
ある意味、これこそが“人材”が“純粋効用”として最適に“機能”化する本源的な“マネジメント”手法でありノウハウであると言えそうです。