この20年間、先進国で賃金が上昇していないのは日本だけ
これは国際間のデータ比較も、明確にそれを指示しています。実は、近年、先進国の中で、デフレで苦しんでいるのは日本だけなのです。そして、先進国の中で、この20年間で、給与が下がっているのは、先進国ではほぼ日本だけなのです。
この20年のうち、先進国はどこの国でもリーマン・ショックを経験し、同じように不景気を経てきました。でも、OECDの統計によると、先進国はどこの国も、給料は上がっているのです。EUやアメリカでは、20年前に比べて平均収入が30ポイント以上も上がっているのです。日本だけが給料が下がっているのです。
- この20年間、デフレで苦しんでいるのは先進国では日本だけ
- この20年間、人件費が下がり続けているのは先進国で日本だけ
この二つの事実を重ね合わせたとき、「日本は人件費が下がっているからデフレになっている」ということがわかるはずです。
つまり、日本のデフレの原因について「日本国内でのデータ」と「国際比較でのデータ」の二つのルートで同じ解答を示しているのです。
しかし、日本の政治家や経済評論家、財界たちは、ずっとこの事実に目を向けず、「デフレから脱却すれば、すべてが好転する」というようなことを言ってきました。そして、金融政策で、デフレから脱却しようと試みてきたのです。
しかし、いくら、金融緩和したところで、給料が減っていれば、安いものしか買えないわけですし、物価が上がらないのは当然なのです。だから「デフレを脱却すれば人件費が上がる」という発想をやめ「まず人件費を上げることが先決」という考えを持つべきだったのです。