【毎日】いちいち反応せず
【毎日】は2面に短めの記事1つ。見出しから。
- 「日ロ平和条約 年内締結を」
- プーチン大統領 条件抜き提案
- 領土問題の立場 日本は変更なし 菅官房長官
uttiiの眼
《毎日》は、扱いそのものが小さいのが最大の特徴。プーチン氏と安倍氏は、北方領土の問題の早期解決に取り組むと10日の会談で確認したばかりなのに、その前提をひっくり返す発言。《毎日》は「ロシア大統領が公の場でこのような提案をしたのは初めてで波紋を広げそうだ」とは書いているが、記事の最後に政府高官の話として、「(発言は)首脳会談の場ではない。いちいち反応しない。日本の立場は分かっているはずだ」という、いかにも不愉快そうな声を紹介。《毎日》自身、「いちいち反応しない」という対応になっている。
【東京】「危ういボール」
【東京】は1面左肩と2面の解説記事「核心」、6面には両首脳発言要旨。見出しから。
1面
- 「領土抜き平和条約を」
- プーチン氏、首相に提案
- 首相の経済協力先行 逆手に
2面
- 突然の駆け引き 警戒
- プーチン氏 領土棚上げ発言
- 安倍外交 対米関係でも貿易で溝
uttiiの眼
《東京》はプーチン発言を、北方領土問題解決に意欲を見せる安倍氏に投げ返した「危ういボール」と表現している(1面記事につけられた栗田晃記者の解説)。記者は、プーチン発言に「北方領土交渉を事実上、振り出しに戻そうとの狙い」を嗅ぎ取っていて、領土交渉を先送りにしつつ経済協力を進めようとしてきた安倍氏の姿勢が「裏目に出た」ものと評している。
記者によれば、プーチン提案は「根本的に矛盾している」。もしも平和条約を今結べば、その段階で国境が画定されてしまうからだ(ここは《朝日》が平和条約の法的構造を説明している部分と同趣旨)。そして、日ソ共同宣言は、「日ソが領土問題を解決できなかったために平和条約に代えて署名したもの」であり、前提抜きで平和条約を締結することはあり得ないことになる。
2面では、今回の問題をきっかけに、安倍外交5年8ヵ月の内実を問おうとしている。
安倍氏が看板にしてきた外交政策だが、プーチン発言は北方領土での共同経済活動が全くうまく行っていないことの証左であり、「対ロシアに限らず、安倍外交が十分な成果を上げてきたとは言い難い」と断じている。
例えば、中国とは関係改善が進んでいるとみられているが、安倍外交の成果というよりは、「貿易問題で米国と対立する中国が、近隣諸国との関係改善に動いた事情が大きい」とにべもない。外務省の幹部も、「中国の姿勢が長続きするとは思えない」と指摘しているという。また、「日米同盟基軸」でありながら、肝心の米国との関係も対立が目立ってきているという。これまで、米国の期待通りの安全保障政策などを推進してきたのに、トランプ政権は今や、輸入自動車への追加関税を検討している始末。2国間のFTAによって自国の利益を追求しようとするトランプ氏には、抵抗することさえ困難なのだろうか。
あとがき
以上、いかがでしたでしょうか。
プーチン政権は、領土問題を含まない「中間条約」を提案してくるのではないかという見方があるようです。日ソ共同宣言を60年以上経って上書きしても仕方がないような気もしますが、どうでしょうか。
image by: 首相官邸









