もらえて嬉しい。年金の「高年齢雇用継続給付金」とは何か?

 

さて、この男性は65歳になる平成34(新年号4)年5月まで厚生年金に加入して働く事になっています。という事は、給与額によっては年金額が停止される在職老齢年金が適用される。停止額がかかるかどうかを見てみる。

  • 在職老齢年金による停止額→{(標準報酬月額24万円+年金月額102,300円)-28万円}÷2=31,150円の停止額

さらに、この男性は高年齢雇用継続給付金を貰ってるので更に年金の停止が入る。

  • 高年齢雇用継続給付金による年金停止額→標準報酬月額24万円×6%=14,400円

よって、老齢厚生年金額は102,300円-在職による停止額31,150円-高年齢雇用継続給付金による停止14,400円=56,750円の年金支給となる。なお、上記の停止額は厚生年金に加入している場合のみであり、厚生年金に加入しないのであれば停止は全くない。高年齢雇用継続給付金の支給は最大65歳到達月分まで。給付金の支給のためには雇用保険加入者でないといけない

※ 追記

停止額が6%というのは支給割合15%に対して40%を停止するという意味。

  • 6÷15=0.4

なお、60歳到達時賃金に対して75%未満61%以上になると、給付割合や停止割合も変わる。例えば、60歳到達時賃金が50万円だとしたら、上限は472,200円ですのでこの上限金額に対し30万円になったとします(低下率63.53%)。とすると、こういう計算式になる。

  • (-183×63.53+13,725)÷280×100÷63.53=11.80%(小数点以下3位未満四捨五入)
  • 高年齢雇用継続給付金額→30万円×11.80%=35,400円

また、停止額を計算する際は上記の公式に当てはめますが、使う金額は低下した賃金額ではなく標準報酬月額。標準報酬月額も30万円とします。とすると、472,200円に対して標準報酬月額30万円の低下率は63.53%。

  • (-183×63.53+13,725)÷280×100÷63.53×(6÷15)=4.72%

よって、30万円×4.72%=14,160円が年金停止額となる。

image by: Shutterstock.com

年金アドバイザーhirokiこの著者の記事一覧

佐賀県出身。1979年生まれ。佐賀大学経済学部卒業。民間企業に勤務しながら、2009年社会保険労務士試験合格。
その翌年に民間企業を退職してから年金相談の現場にて年金相談員を経て統括者を務め、相談員の指導教育に携わってきました。
年金は国民全員に直結するテーマにもかかわらず、とても難解でわかりにくい制度のためその内容や仕組みを一般の方々が学ぶ機会や知る機会がなかなかありません。
私のメルマガの場合、よく事例や数字を多用します。
なぜなら年金の用語は非常に難しく、用語や条文を並べ立ててもイメージが掴みづらいからです。
このメルマガを読んでいれば年金制度の全体の流れが掴めると同時に、事例による年金計算や考え方、年金の歴史や背景なども盛り込みますので気軽に楽しみながら読んでいただけたらと思います。

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座 』

【著者】 年金アドバイザーhiroki 【発行周期】 不定期配信

print
いま読まれてます

  • もらえて嬉しい。年金の「高年齢雇用継続給付金」とは何か?
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け