後悔しないために。猫好き科学者が勧めるペット用ノミ駆除剤は?

 

フェノトリンとdl・d-T80-アレスリンは殺虫剤の典型成分であるピレスロイド系の殺虫剤です。哺乳類には毒性は低く、昆虫の神経系のナトリウムチャネルにフタをして神経伝達を止めてしまう物質で、哺乳類の神経のナトリウムチャネルのタンパク質の形が違うために毒性が出にくいわけです。

もちろん、神経には働かないからといって、他で悪さをしないということもないのですが、基本的に常識的範囲で使っている範疇では毒になることはまずありません。じゃないと売れません(笑)。

フェノトリンは人間用にもヒゼンダニの治療薬(駆虫薬)として外用剤が売られています。d-T80-アレスリンは据え置きの液体タイプの蚊取り装置によく配合されており、これでペットが中毒したりということは滅多にありません。

イミダクロプリドはネオニコチノイドという分類の殺虫剤で、昆虫類に微量で劇的に効くのですが哺乳類にも比較的毒性が出る可能性があるため、使用量はかなりコントロールされていて、人間や哺乳類に通常使用量で問題が出るとは思いがたいです。

いずれもハ虫類のように体重の軽い生き物やエビや熱帯魚には毒性がある(特に後者はてきめんすぎる)ことがあるので「蚊だけを倒す薬」ではないことを知っておきましょう。昔カブトムシが死んでしまうというクレームの裏側に、カブトムシの真横に蚊取りベープを焚いていたという事例があったくらいです。

ピリプロキシフェンは昆虫のホルモンに類似した構造をしており、これを取り込んだ昆虫は脱皮をするためのタンパク質が用意できなくなり成長できずに死んでしまいます。また昆虫のホルモン剤なので、より一層動物へは負担が少ないモノとなります。

メトプレンも昆虫のホルモンに似せた物質でサナギになることを邪魔する物質で、哺乳類には毒性はものすごく低いです。なんせ脱皮しませんから(笑)。ただ成虫には意味が無いことや、すでにいるものを速効駆除することが困難なので、他の殺虫成分と併せて使われているわけです。

セラメクチンは多くの寄生虫に幅広く効果があります。フィラリアのような内部寄生虫にも効果があり、またノミにも選択的なくらいによく効くことから非常に優れた成分であり、獣医が好んで使うのも過去の中毒例などの少なさからです。

サロラネルはさらにヒゼンダニ(疥癬)やマダニにも高い効果が得られるのですが、セラメクチンとは混ざり合わないため、合剤化が難しかったのをファイザーが解決し商品化したもの。現在ペット用の首元にたらすスポット駆虫剤では最高の製品といえますが、値段も最高です(笑)。

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