交渉のプロが伝授。相手を気持ちよくさせる、オウム返しの使い方

 

会話術「応用編オウム返し」の嬉しい効果

ゆえに、ここで「応用編オウム返し」を実施すると有効です。相手の用いている専門用語などを用いつつ、「それはどういうことか?」相手に説明してもらうきっかけをどんどん提供します。その上で「要するに、XXはこういうことなんですね?!」と確認を“いちいち”取ります。

実は、この「応用編オウム返し」のもう一つの強力な側面は、「専門家に対する“褒め殺し”効果」です。相手が毎回行う説明内容に対し、「なるほど。それは非常に深いですね」とか「それはXXということなんですね。今まで考えたことがなかったです。さすが!本当に勉強になります」といちいち同意して、あえて「ということは、先生がおっしゃっていることは、こういう風に言うこともできますよね?」とちょっと自分の内容を加えて言い直してみることで、面白い現象が起きます。それは、「いつの間にか相手の専門家がこちらの味方になる」のです。

「自分が頑張って極めてきたことを、素直にすごい!と認め、おまけに自分なりに理解しようとしてくれている」というとても前向きな感情が生まれ、おまけにrapport(心と心の絆)まで感じていただき、「最初は、ああこのことについては、素人なのね!?」と感じていたのが、「ちゃんと私が研究している内容を理解しようとしている。なかなかやるじゃないか」と感じるようになるそうです。

そうなると、交渉の場でも、相手側の専門家で参加しているにもかかわらず、交渉の席で「いや、島田氏の言うことにも一理ある」という思いもしないバックアップが入りだすという状況を何度も経験してきました。休憩時間などにさらに親交を深め、お話を伺うことで、その方の専門分野の理解も深まりますが、何よりも私の「困ったときに教えを請うエキスパートリスト」がより充実し、次回の交渉からは私サイドの専門家になっていただけることも少なくありません。

この話をすると、「黒い交渉術だ!」とか「ずるい!」と批判される方もいらっしゃいますが、あくまでも相手に敬意を表し、教えを請い、交渉における内容をよりよく理解するという努力を行っているだけです。そう、ちょっと行動心理学のテクニックを駆使しながら(笑)

いかがだったでしょうか?ぜひ、これを読まれたら、ご家族や同僚、お友達などを相手に、試してみてくださいね。

image by: ESB Professional, shutterstock.com

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世界各地の紛争地で調停官として数々の紛争を収め、いつしか「最後の調停官」と呼ばれるようになった島田久仁彦が、相手の心をつかみ、納得へと導く交渉・コミュニケーション術を伝授。今日からすぐに使える技の解説をはじめ、現在起こっている国際情勢・時事問題の”本当の話”(裏側)についても、ぎりぎりのところまで語ります。もちろん、読者の方々が抱くコミュニケーション上の悩みや問題などについてのご質問にもお答えします。

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