日本の水が危ない。水道法改正案可決で外資に売られる生命の源泉

 

これで参入しやすくなるヴェオリア社など水メジャーが、水道の運営権を買い取るための攻勢を今後、各自治体にかけてくるのは間違いない。

官業を民営化する司令塔になっている内閣府の担当部署でヴェオリア社日本法人の出向社員が働いていることも明らかになっている。安倍政権は「すさまじい利益相反」と野党議員に指摘されることまでして、水道事業の民営化を画策してきたのだ。

水メジャーにこの国の水道を実質支配されたらどうなるだろうか。料金がはね上がると、たちまち我々の生活に響いてくる。住民の不満は爆発し、自治体や国に対する非難の声が湧き上がるだろう。

実際に海外では、いったん民営化したものの、水道料金の高騰や、コスト削減によるサービス低下を招いたため、再びもとの公営に戻すケースが相次いでいる。

水ジャーナリストの橋本淳司氏は参院厚労委員会で次のように語った。

「海外で水道を再公営化した事例が180例ありますが、その多くは、企業の業務内容と金の流れが不明瞭になったことに起因しています。多額の役員報酬、株主配当を支払い、水道への投資を行わず税金も支払わないというケースもありました」

「日本の水道法改正においても管理監督責任は自治体に残ります。しかし、職員数の減少と定期的なジョブローテーションという状況では、自治体に管理監督責任を遂行する能力は乏しく、高額な費用を支払って専門家やコンサルタントに依存するか企業の報告を鵜呑みにする危険性があります」

これを聞くと、本当に不安になってくる。なぜ、命の源泉である水の供給まで民間企業の手に委ねなければならなくなったのか。

厚労省によると、高度成長期につくった全国の水道管のうちすでに1割は耐用年数を超え、老朽化した管路を今後130年以上かけて回収していかなければならない。

加えて、竹中平蔵氏がいまだに主導している民営化、規制緩和路線による職員数の削減、団塊の世代の退職などで、技能者はすっかり減っている

「これらの課題を解決し、将来にわたり、安全な水の安定供給を維持していくためには、水道の基盤強化を図ることが必要」と厚労省は強調する。

その答えが、民間頼みというわけだが、先述したように、水道事業の民営化は失敗例が数多い。再公営化のため、契約を途中で解消しようものなら、莫大な違約金を請求されるだろう。

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