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CESで話題に事欠かなかった「5G」。実は「期待はずれ」━━T-Mobileが600MHzで5Gエリア展開するのはアリなのか

今年のCES、目玉は「5G」だと思って、鼻息荒くラスベガス入りした。

しかし、結果は「期待はずれ」。ここまで何もないとは思わなかった。

実際のところ、会場内では「5G」を掲げるブースも多く、基調講演や記者会見などで5Gを取り上げるところも多かった。話題性という意味では、5Gが盛り上がっていたのだが、肝心の製品やサービス、ソリューションの具体的で目新しい展示が全くなかったのだ。

唯一、きちんと5Gに関する展示を行っていたのが、クアルコムだ。中国メーカーの5Gスマホのプロトタイプを並べ、しかも記者会見では「2019年に30機種以上の5Gスマホが登場する」と明言した。インテルやファーウェイも5Gチップセットを手がけているはずだが、いずれも製品に関する展示はなかった。

アメリカでは2019年前半にベライゾンAT&T5Gサービスを始める予定だが、両社ともCESで5G関連の目立った展示は行っておらず、まさに「期待はずれ」に終わってしまった感がある。

そんななか、T-Mobile USが5Gに関する興味深い展示をしていた。

彼らは、600MHz帯で5Gの電波を吹くというデモをアピール。ミリ波に比べ、一つの基地局で圧倒的に広いエリアをカバーできると訴求していたのだ。ほかにも、ミリ波では窓を閉めただけで電波が弱くなるとしており「家の中までカバーするなら600MHz帯だ」と言いたいようなのだ。

確かに28GHzなどでは、数百メートル程度しかカバーできず、スマホの前に人が立つだけで電波が入らないなど、どこまで実用的なのか、かなり微妙な感じがしている。その点においては600MHz帯で5Gが提供できれば、アメリカでも一気にエリアをカバーできることになる。

しかし、1つの基地局で、広大なエリアをカバーするとなると、当然、それぞれの端末のスピードは遅くなるし、遅延も発生することだろう。600MHzで、世間が期待する5Gのスペックを提供できるかはかなり怪しいはずだ。

ただ、この流れで行くと、T-Mobileは、他社に先駆けて「エリアの広い5G」をアピールしてくるのではないか。かつて、HSPA+にも関わらず「4G」を名乗り出し、アメリカでは各社が「なんちゃって4G」を訴求しはじめた状況がまたやってくるのではないか。

「5Gはピンポイントで使う」というのがキャリアのなんとなくの共通認識であったが、T-Mobileがこのような動きをしてきただけに、他のキャリアも「5Gをプラチナバンドでいち早く全国展開する」という流れに付き合わされることになるかもしれない。

image by: JHVEPhoto / Shutterstock.com

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日経トレンディ編集記者として、ケータイやホテル、クルマ、ヒット商品を取材。2003年に独立後、ケータイ業界を中心に執筆活動を行う。日経新聞電子版にて「モバイルの達人」を連載中。日進月歩のケータイの世界だが、このメルマガ一誌に情報はすべて入っている。

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