筋肉量は裏切らない。ボディメイクのプロが教える腕力の付け方

 

もう一つ大きなポイントとなるのは、最大筋力を発揮するテクニックです。私も以前に、アームレスリングの選手といわゆる腕相撲をやったことがありましたが、まったく歯が立たなかったことを思い出します。

その選手は体格も小柄で腕も必ずしも太くありませんでした。少なくとも私よりは華奢で細い体格にもかかわらず、一切こちらの力を塞いでしまうような感覚でした。間違いなく筋肉のサイズとしては私の方が大きいのですが、発揮する筋力は彼の方が大きいのです。

これにはアームレスリングのテクニックが大きく関係している事は間違いありません。ベンチプレスにしてもスクワットにしても、何かマックス重量を測定するような種目の場合、往々にしてこのようなテクニックの差が挙上重量の差になっている場合が多いのです。

例えば、パワーリフターが練習をする場合、純粋に筋肥大のトレーニングも行いますが、むしろフォームであったり挙げ方の技術の習得のための練習をしている場合が多いのです。

また、これと連動して筋力を発揮する際に動員させる運動単位を増やすという事も、筋肉のサイズとは別に最大筋力に影響を与えます。運動単位とは一つの神経が動かせる筋線維の事ですが、たくさんの筋線維を動かせる神経もあれば、少ない筋線維しか動かせない神経もあります。

大きな筋力を発揮するということは当然大きな運動単位が動員されるわけですが、この場合はまずは小さな運動単位から動員が始まるのです。小さな運動単位からスタートして、それでは太刀打ちできないとなったらもう少し大きな運動単位が動員されて、やがて大きな運動単位へと繋がっていきます。小さな運動単位が遅筋で、大きな運動単位が速筋という理解でもいいかと思います。

これをサイズの原理といいますが、よりたくさんの運動単位が動員されることで、筋肉の大きさとは別の観点から最大筋力は高まっていきます。これも発揮したい筋力がどういった動作なのかによって変わってきますので、そういった動作を日常的に訓練していることで動員しやすくなっていくようになります。このように、単に筋肉が多いから発揮する筋力も大きいとは言い切れない側面があります。

しかし、テクニックにしても、動員する運動単位にしても、ある程度のレベルに達すると急激に伸びが頭打ちになっていきます。それに比べて筋肥大という要素はなかなか成果が現れない残念な特徴がありますが、一方でテクニックに比べて頭打ち感が少ないという嬉しい側面をもちます。

何かひとつの要素だけを磨くというのではなく、どの要素も意識してトレーニングなりを行うべきですが、大前提としての筋肥大は常に意識をして取り組んでいくことが結局は近道といえるかもしれません。

image by: Lebedev Roman Olegovich, shutterstock.com

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桑原塾塾長 桑原弘樹は、国内大手食品メーカーでサプリメント事業を立ち上げ、全商品の企画開発に携わる一方、全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部PDAなどの立場で、国内外問わず多くのトップアスリートに直にコンディショニング指導を行ってきた。サプリメントは作るだけにとどまらず、「日本で一番使っているのでは」と豪語するほどのユーザーでもあり、年間300回のワークアウトも欠かさない。サプリメントやダイエットなどの分野で、多くの情報が散乱する昨今。サプリメントを作り、自ら試し、活用法を指導してきた、桑原塾長が、本物で価値あるボディメイク情報を提供すべく、スクランブル発進する!!!

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