2番目の「沖縄米軍基地問題の前提となる日本の安全保障上の選択肢」は、
1)どの国とも同盟関係を結ばない武装中立、
2)日米同盟の徹底活用、
の2つです。
1)については、格好はよいのですが、これもリスクが大きすぎます。まずコスト面では、現在のレベルの安全を独力で実現するには年間23~25兆円ほどの防衛費が必要だと、防衛大学校の2人の教授が試算しており、妥当性のある数字です。
また、武装中立は日米同盟の解消を意味しており、そこに日本が一歩踏み出した途端、米国の核の傘を含む拡大抑止が消え失せ、日本は裸同然の状態に置かれます。それを核武装で補おうにも、核兵器に関する日本の技術力の低さはもとより、裸の状態に置かれた日本への中国、ロシアの干渉と、それを排除しようとする米国のはざまで揺れ動く羽目に陥り、核開発についても妨害は覚悟しなければなりません。列国の干渉や妨害をかいくぐって核武装できる可能性は、ゼロに近いと言わざるを得ないのです。
一方、「日米同盟の徹底活用」のほうは、年間5兆2千億円の防衛費にプラスアルファするだけで、世界最高レベルの安全を実現できています。世界から米国の属国のように見られるのは、米国の戦略にとっての日米同盟の重要性を日本が自覚しておらず、属国的に振る舞ってきた結果です。米国から見て最も対等に近い同盟国として行動すれば、この問題は自ずと解決していくのです。
このような点を沖縄県民が確認すれば、日米同盟の徹底活用のなかで、「日本国沖縄県」としてベストの答案を描き、実現していく、というコンセンサスが生まれるのは明らかです。
はたして沖縄の人々は、この基本的な問題に取り組んできたと言えるでしょうか。これは、沖縄が他の米軍基地問題とも正面から向き合い、克服していくための前提条件となるものです。少なくとも、そうした意識のもとに県民投票が行われて欲しいと願っています。(小川和久)
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