事業ドメインの変更
それは、老舗の大手家具店の事例です。この会社は、経営者が交代した時に、事業ドメインを変えてしまいました。その新旧のドメインを比較してみましょう。
●誰に
旧:高所得者層
新:ファミリー層
●何を
旧:厳選された高級家具
新:ファッショナブルで値ごろ感のある家具
●どうやって
旧:きめ細かい接客サービスで
新:気軽に見て回れるセルフ販売で
新旧で、明らかに違った店になっています。その結果、この家具店はピンチに陥ったのです。どうしてでしょうか。
おそらく、「理念」は変えていないはずです。そして、事業ドメインを変えるために、外部環境分析と内部環境分析を行ったに違いありません。しかし、事業ドメインを変えるということは、その次の「基本戦略」も変えることになります。つまり、「マーケティングミックス」を変更しなければなりません。
「マーケティングミックス」とは、「商品戦略」「価格戦略」「流通戦略」「プロモーション戦略」のことです。これだけの戦略が一度に変わると、どうなるでしょう。現場は混乱します。今までの社員の頭の中を変えなければいけません。大変な作業ではないかと思うのです。
おそらく、頭の中が変わっていたのは、交代した経営者だけなのだと思います。事業ドメインを変えたからと言って、簡単に社員が変わるわけではありません。ここに大きな誤算が生じました。
おわかりでしょうか。それほど、事業ドメインは重要なものです。あなたのお店も、事業ドメインをいい加減に扱わないようにしましょう。
■今日のツボ■
- 経営とは、時流に適応し、事業を継続させることである
- 経営戦略は順序立てて考えていくのが良い
- 経営戦略で特に重要なのは、理念の構築と事業ドメインである
image by: Shutterstock.com