ゴーンと真逆の経営改革で成功した創業300年以上の老舗日本企業

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話題の尽きないゴーン前日産自動車会長の一連の逮捕劇ですが、ゴーン氏には「高額報酬のお雇い外国人経営者」として、日本人経営者には実行し難い大規模人員削減などの大役を担った成功例という評価もあります。今回の無料メルマガ『ジャーナリスト嶌信彦「時代を読む」』では著者の嶌さんが、外国人経営者による経営改革の成功・失敗例を分析し「これからの日本に求められる新しい経営者像」を提案しています。

日本の外国人社長の報酬はなぜ高い?  ゴーン氏は日産・三菱自動車で計9億6000万円

2018年11月19日にカルロス・ゴーン前日産自動車会長が金融商品取引法違反で逮捕されてから2ヵ月以上が過ぎた。この間東京地検特捜部は容疑会社を私物化し、役員任務に背いて自分や第三者の利益を得るため会社に損害を与える「特別背任罪に切り換えて拘留の延長をはかったのだ。長期の拘留には国際的批判もあるが、地検特捜部はもはや虚偽記載形式犯では、国際事件の収拾をはかれないとみて“特別背任罪”の立件に踏み込んだようだ。

日産が経営危機に陥り、仏ルノーと資本提携した後、1999年に派遣されて日産のトップに着任したゴーン氏の経営改革は激しいものだった。着任すると同時に工場を見てまわり、わずか1~2年のうちに主力工場だった村山工場をはじめ5ヶ所の工場を閉鎖、従業員2万人以上をリストラしたほか、子会社の統廃合、航空宇宙機など余剰資産の売却など「日産リバイバル計画」を実行して約2兆円あった有利子負債を2003年までに全額返済して再建を果たしたのである。

コストカッターと呼ばれたゴーン氏

ただその苛烈な合理化策と実現に向けたやり方は「ゴーン革命」「コスト・カッター」「コスト・キラー」などと呼ばれた。

また2016年までに三菱自動車工業の株式34%を買い入れ「ルノー日産三菱連合を成立させ、自動車グループとしてはトヨタ自動車、フォルクスワーゲン、ゼネラルモーターズに次ぐ世界第4位の地位を確立させた。その一方でセドリック、グロリア、サニーといった車名を次々と無くした。

ただゴーン革命で日産再生に果たした期間は最初の5年間ぐらいで、その後独裁的経営になったり、日産の技術を仏・ルノーに移転させることなどが目立ち始めたため、日産社内では不満が高まっていった。特に数年後には日産の車が主役になりルノーの役割が低下してきたため、ゴーン氏への経営にも相当多くの反発が出始めたといわれる。

しかし、ゴーン氏は結局、約19年にわたり会長の座にすわり、特に10年目ぐらいから私物化が目立ち、日産社員、幹部の間で“ゴーン排斥”計画が進んでいたとされる。最終的に地検特捜部日産幹部が“司法取引”を行ないゴーンの罪状を告発、ゴーン逮捕に至ったのである。

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