現役アナウンサーが教える、聞き手の興味を引く話し方の方程式

 

ところで、この論法では、大結論が感動でなくても、実は成立します。つまり、1、「いやー!(〇〇でしたよ!)」ではなくても、例えば、「AがAじゃなかったことについて、お話ししますね」でも、成立します。

しかしそれだけですと、それであなたはどう感じたのか?という唯一無二の情報を、強調できない、あるいは、言い逃すことにもなりかねません。ですから話の切り口、話の軸を最初から、感動=心の動きにしてしまおう、という意図なのですね。

物は言いようとは、よく言ったもので、上記の、「AがAじゃなかったことについて、お話ししますね」も、話の切り口を、感動=心の動きに変えることは簡単なのです。「AがAじゃなかったので、要注意ですよ!!」これで良いのです。

情報量は激増しているのに、文字数は減りましたね!この違いが、「ただの」話の分かりやすい人と、魅力的な話し手との分岐点になります。

ありがちな話し方の解説などの定番「結論から先に言う」ことは、確かに、話を分かりやすくするとは思いますが、ワンランク上の話し手を目指すなら、それだけでは不十分何を結論とするか?というところが、本当はいちばん大事な部分なんです。

上記の例で言うと、「AがAじゃなかった!」でも十分に結論的だとは思いますが、ちょっと無機質ですよね。それを、「AがAじゃなかったので、要注意!」という、話し手の心の動きまで含めることで、話の切り口が、その話し手だけが言えることにまで昇華し、話全体を魅力的にしています。そして、それが言える人=魅力的な人、という印象を与えるわけですね。

もっとも、主観的な表現ができる環境にも配慮は必要だとは思います。つまり、「余計なことを言えない雰囲気」「場違いになるのが怖い」という状況です。ただこれは、その人の人柄、普段からのキャラクター次第だとも言えます。

逆に、主観的な表現ができそうもない環境があったとして、そんな場でも、誰々さんなら言えるよね~という人、思い当たりませんか?そういう人こそ、この話し方を実践している人物です。そしてその人の話が、傾聴に値するものになっている理由も、この部分にあります。やっぱり、ワンランク上ですよね…。

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