ついでにという訳ではありませんが、浸透圧について少し補足しておきます。
浸透圧の説明をするには、半透膜というものを理解しないと難しいのですが、半透膜とは簡単に言えば水は通すけれどそれ以外の物質は通さない膜のことです。正確には水のような小さな分子は通るけれど、大きな分子は通らないという膜です。人の細胞膜などはこの半透膜です。
半透膜で仕切られた状態の水槽で、片方に例えば塩を溶かした場合、塩の分子は大きいので半透膜を通りません。しかし、常に濃度は一定に保ちたいという力が働くため、行き来が自由な水は塩が溶けている側にどんどんと流入をしていって濃度を一定に保とうとします。この時の水の動いていく力が浸透圧です。
私たちの体は常に一定の浸透圧で保たれていますが、ここに大きく影響を与えるものが2つあります。
ひとつはアルブミンというタンパク質です。アルブミンは血液の中にもっとも多く含まれるタンパク質ですが、このアルブミンの濃度が下がってくるということは浸透圧が下がるということになるため、アルブミンの濃度が血液よりも濃い状態の組織間へ水が移動することになります。
これが、アルブミン濃度が低下することに起因する浮腫(むくみ)みです。このアルブミンの濃度による浸透圧を、膠質(こうしつ)浸透圧といいます。
もうひとつ浸透圧に強い影響をもつのがナトリウムです。特にナトリウムは血漿への影響が強く、血漿浸透圧はナトリウム濃度に影響されています。血漿とは血液から赤血球、白血球、血小板を除いたものですが、ナトリウム値が高くなると浸透圧を保つためにそれを薄めようと体が反応を起こします。この場合は、単に体内の水分移動ではなく、浸透圧受容体が反応をして喉の渇きという現象を起こします。つまり水が飲みたくなるのです。
その時に水を飲まない(飲めない)状態になると、今度は水を排泄しないようにと抗利尿ホルモンが分泌されて尿の量が少なくなります。結果として血液中の水分量が増えるために増えた血液を押し出す力が必要となり、心拍出量が増えて血圧が高くなるというわけです。
塩分の摂り過ぎが高血圧によくないというのは、浸透圧が絡んでいたわけなんですね。
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