「青もみじ」をご存知でしょうか。秋に紅葉するモミジが色づく前、青々とした葉を茂らせている時期を指す名称です。京都に数多く存在する紅葉の名所は、イコール青もみじの名所でもあります。今回の無料メルマガ『おもしろい京都案内』では著者の英 学(はなぶさ がく)さんが、嵐山・嵯峨野地区に多く点在する「青もみじスポット」をたっぷり紹介しています。
青もみじを堪能する
5月は新緑の季節ですが、意外にもオフシーズンです。特に紅葉名所が多い嵐山・嵯峨野地区などは紅葉シーズンほど人はいません。ゆっくり散策できるため庭園を堪能するにはベストシーズンです。そして「青もみじ」が見事な季節でもあるのです。
まずは渡月橋周辺からご紹介します。最初はやはり世界遺産天龍寺です。亀山を借景とした夢窓疎石作の曹源池庭園は新緑の季節も見応えがあります。
その後は天龍寺の裏手にある塔頭・宝厳院は穴場的存在です。通常は非公開ですが、紅葉と青もみじの季節だけ特別公開されます。回遊式庭園「獅子吼(ししく)の庭」はどこから見ても絵になる素晴らしい庭園です。
サスペンスドラマでもよく使われている渡月橋西詰にある法輪寺も青もみじスポットです。石段の参道脇を青々としたもみじが出迎えます。
竹林の小径を入ったところにある野宮神社は源氏物語にも登場する由緒ある神社です。初夏には清らかさ溢れる境内に目を奪われることでしょう。
近くにある二尊院は「紅葉の馬場」と呼ばれる参道が有名ですが、紅葉の名所は青もみじの名所でもあることをお忘れなく。
そのまたすぐそばにあるのが常寂光寺です。小倉百人一首が編纂された小倉山荘跡といわれています。その名の由来は常寂光土。仏教用語で理想郷を意味しているのだとか。そんな素晴らしい光景の広がる境内も息を飲むほどの青もみじが待っています。
ひっそりと竹林に佇む祇王寺は新緑から夏にかけて、素晴らしい苔の庭園を楽しむことができます。もちろんその頭上は青もみじに覆いつくされた空間が広がっています。
最後は宝筐院(ほうきょういん)の落ち着きのある見事な庭園を散策してみて下さい。青々とした楓のトンネルをくぐると入口の小ささから想像できない程広い境内に青もみじの世界が広がっています。
混雑の少ない新緑の嵯峨・嵐山で「青もみじ」を愛でてみてはいかがでしょうか?
image by: 京都フリー写真素材