不自由になって初めてわかるさまざまな身体の機能や動き。可能ならば、そうなる兆候を知って、事前に対策を取りたいものです。今回は、梅雨の時期に注意が必要だという「小指に力が入らなくなる症状」や「四十肩・五十肩」の前兆と予防法について、メルマガ『鍼灸師・のぶ先生の「カラダ暦♪」』の著者、のぶ先生が教えてくれます。
手が伸びない、腕が伸びない
【手や腕の伸縮の仕組み】
人の腕の仕組みとして、「親指側」の筋肉は「肘を曲げる」ように遠くのものを手にとって「引きこむ・引っ張る」ために働きます。
「小指側」の筋肉は、これとは逆に「肘をのばす・手をのばす」ことで、遠くのものを取ろうと伸ばす働きがあります。小指側の手や腕を伸ばすときには、肩やわき腹の筋肉も協調して運動することで、手や肘を伸ばすことができるわけです。
【小指に力が入らない】
上記のように手や肘をのばすときには、小指側の筋肉が体幹部(肩やわき腹)まで協調して働きます。肩やひじの筋肉や関節にねじれやこわばりによる血行障害があると、手の小指側に力が入らなくなったり、しびれや冷え、感覚異常をおこすことがあります。
【小指の力をとりもどす】
肘や肩の関節周囲にある筋肉のアンバランスをおこしているこわばりをリセットすることで、小指の力をとりもどし、手や前腕部、上腕部の筋力低下やしびれ感を改善します。
肘の後ろ側の上腕部の筋肉がこわばると、手や肘を十分にのばすことができなくなったり、肘関節を通る神経の伝達の邪魔をしてしびれや感覚異常をおこします。また、肘周辺の筋肉の緊張は小指側の冷え症状の原因にもなります。
こうした症状の改善には、肘の後ろ側の肩まで伸びる筋肉(上腕三頭筋=力こぶの裏側の肘から肩まで伸び筋肉)を上下にさするようにマッサージするとよいです。冷えやこわばりを感じるようなら、圧痛のあるところにお灸をすえるのも手軽な方法になります。
梅雨の時期は、意外と腕の後ろ側(小指側)や肩やわき腹を冷やしやすいです。高まる湿度や強く効き始めるエアコンの冷気に無防備にあたることは、こうした小指側のしびれやこわばりによる「小指に力が入らない」症状がおこりやすくなります。
上腕部の力こぶの裏側の筋肉(上腕三頭筋)を触って冷たく感じるようなら、「小指側の症状」や「四十肩・五十肩」の前兆ですから、そでの長い衣服で冷えや湿気から身を守ることを気をつけて過ごされたらよいです。
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