「米百俵の精神」と真逆だった小泉内閣
小泉純一郎氏は、2002年に首相に就任したときに、所信表明演説の最後に「米百俵の精神」を説きました。「米百俵の精神」というのは、明治維新直後の長岡藩では、藩士たちの生活が困窮し、救援のために米百俵が届けられましたが、長岡藩の当時の指導者は、この米百俵を藩士に支給せずに、売却し学校をつくったという話です。
小泉純一郎氏は、この話を引用し、将来の日本のために今の苦しい生活を我慢して欲しいと国民に訴えました。世間的に非常に話題になりましたので、覚えている方も多いはずです。
が、この米百俵の精神で教育の大切さを説いていた小泉純一郎氏は、首相在任中に、国公立大学の授業料を2倍近く引き上げているのです。また先にご紹介した「配偶者特別控除」を廃止したのも、小泉内閣でした。
小泉内閣は、その一方で、投資家の税金を所得税、住民税を合わせて10%にするという、先進国では例を見ないような投資家優遇税制を敷きました。その結果、株価は上昇し、数値の上では景気はよくなったように見えましたが国民生活はどんどん悪くなっていったのです。
以前、このメルマガでもご紹介しましたが、公益法人「1more baby 応援団」の既婚男女3,000名に対する2018年のアンケート調査では、子供が二人以上欲しいと答えた人は、全体の約7割にも達しています。しかし、74.3%の人が「二人目の壁」が存在すると回答しているのです。
「二人目の壁」というのは、子供が一人いる夫婦が、本当は二人目が欲しいけれど、経済的な理由などで二人目をつくることができないということです。この「二人目の壁」をつくってきたのは、間違いなく、この国の愚かな政治家たちだったのです。
日本という国は、世界有数の金持ち国です。バブル崩壊後も決して日本経済は悪くなく、国民一人あたりの外貨準備高は断トツの世界一、国民純資産(資産から負債を差し引いた金額)も同じく断トツの世界一。そして日本企業も、断トツ世界一の利益準備金を保有していますし(人口比換算)、億万長者(100万ドル以上の資産保有者)の人口割合も世界一なのです。実質的に世界一の金持ち国と言っていいでしょう。
にもかかわらず、若い夫婦がたった二人の子供を育てることさえ出来ないのです。今の日本と言う国が、いかに富が偏在しているか、いかに必要な人にお金が回っていないかということです。今の日本に必要なのは、「経済成長」ではなく、「経済循環」なのです。もう富は十二分にある、その富をちゃんと分配していないことが問題なのです。
しかし今の日本の政治というのは、相変わらず「経済成長」を目標にしています。政治家たちが、いかに社会が見えていないかということです。これ以上、日本が富を集めれば、世界中から嫌われます。日本がこれだけ富を集めているのに、若い夫婦がたった二人の子供さえ持てない社会となっていることは、世界的な大恥なのです。(メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』より一部抜粋)
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※本記事は有料メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』2019年6月16日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。
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